先週の9月8日に中山競馬場で行われた「京成杯オータムハンデ」は3連単16万馬券の高配当だった。
「アスコリピチェーノのアタマ一択」「3歳馬は無双しない」「真ん中より下半分の人気が1頭絡む」で、見事な馬券ヒントを披露した馬券師ライターT氏は苦笑いだ。
「まさかSNSでお礼を言われるとは。2着のタイムトゥヘヴン(14番人気)までは名前は出していなかったし、関屋記念組は押さえ程度に考えてました。しかし、その方はアスコ1着固定で他の3歳馬を軽視して、私が推奨したセルバーグ(4着)と5歳馬のサンライズロナウドをピックアップ。他を9番人気以下の8頭全部で固めたというからたいしたもの。相当儲かったようですよ」
そんな中、15日に行われる秋華賞トライアル「ローズS」だが、人気は牝馬ながら皐月賞6着、日本ダービー5着と健闘したルメール騎乗のレガライラだが、さっそく「中心では絶対に買えない」とT氏が馬券ファンをあおる。
「先週のデータのパーセンテージと同じ。春に牡馬クラシックの皐月賞やダービーに挑戦し、秋にまた牝馬路線に戻ってきた馬たちの惨状を思い出してください。春に無理したツケが全馬に例外なく回っている」
確かに2000年以降、2007年のウオッカは日本ダービーを制しているが、彼女でさえ秋はスランプに陥った。以降、2014年のバウンスシャッセ(皐月賞11着)、レッドリヴェール(ダービー12着)、17年のファンディーナ(皐月賞7着)、21年サトノレイナス(ダービー5着)がいるが、サトノレイナスは日本ダービーを最後に引退し、他の牝馬たちは秋のトライアルや本番で惨敗を繰り返した。
「レガライラは皐月とダービーのどちらも走っている。ダメージが残っていなかったら化け物です。これを本命にする馬券術はありえない」(T氏)
また、今回の「ローズS」は普段の阪神1800メートルではない。中京の2000メートルで行われるのだ。T氏は「ローズSであってローズSではない」と言う。
「たまたま20年~22年の3年が阪神競馬場改修工事のせいで中京開催だった。この3年のレースは絶対に参考になる。ポイントは距離と左回り。前後の2年間、阪神1800での勝ち馬、ダノンファンタジーとマスクドディーヴァを見てください。どちらもマイラーです。ダノンに至っては2000以上で一度も馬券になっていない、そういう馬です。つまり、来るタイプがガラッと変わる。違うレースなんです。3年間の中京開催での優勝馬は、左回りでしか走らないオークス4着のリアメサイヤ、前走で新潟の左回り2000を快勝したアンドヴァラナウト、デビューから2000以上しか走っていないオークス7着と健闘したアートハウスでした。その他、21年の3着にはオークス5着のアールドヴィーヴルが来ている。とにかく距離と左回り。つまり、中京のローズSは左回りのオークスで結果を出した馬がまず最初に信頼できると考えていい。それならば、本命はクイーンズウォークとなる(オークス4着)。レガライラに迫る2番人気となるでしょうが、この1着固定が勝負馬券でしょう」
では、馬券結果を左右するその他の馬をどう選別すればいいのか。しかし「難しくない」とT氏は余裕を見せる。
「中京の3年間で馬券になった9頭中、オークス組以外は1勝クラスを勝った2勝馬が人気にかかわらず激走している。距離がゆったりしている分、忙しい阪神1800のようにレースが紛れないので、好調を持続している上がり馬が自分の競馬をしやすい。これだけでオーロラエックス、カニキュル、チェレスタ、ハワイアンティアレ、フレミングフープの5頭に相手を絞れてしまう。ハイワインはあきらかにマイラーなので、つまり相手候補は4頭。その中なら、左回りだけで勝っているカニキュルと前走を同じ中京2000で勝ったフレミングで一歩リードでしょうが…今回は他の2頭も買いたい」
まだ暑い9月半ばの中京地区だが、絶好調馬券師のアドバイスは、クイーンズウォークを中心に距離と左回りに自信のある2勝馬で脇を固め、そして1番人気必至のレガライラは「買っても押さえまで」(T氏)。「ローズS」はこの残暑を吹き飛ばす3連単で勝負してみたい。
(宮村仁)