いよいよ、秋競馬がスタートだ。
9月は秋のGⅠシリーズに向けて、トライアルレースなどが数多く開催されるが、実は馬の仕上げに差が出やすい「トライアル」を苦手とする、または嫌がる馬券ファンは少なくない。ひと言でいえば「手を出しづらい」というわけだ。
では、3歳牝馬の「秋華賞」へ向けた一戦、今週末開催の「紫苑ステークス」はどうなのか。
紫苑Sは創設当初はオープンのトライアルレースだったが、2016年からGⅢの重賞へと格上げされ、昨年の23年からはさらにGⅡへとグレードアップした。この変化はレースに何をもたらしたのだろうか。スポーツ紙競馬担当記者が言う。
「重賞に格上げされた2016年以降とそれ以前ではガラッと変わっています。重賞にグレードアップされたことで、それまでは夏の上がり馬のGⅠ出走権を争うレースだったのに対し、16年以降は春の実績馬がこぞって出走するようになった。ただし、昨年からGⅡへの格上げされたことでの変化はまだ見当たりません」
16年以降に出走馬の傾向が変わったことは、当然のように馬券の結果に影響を及ぼしているようだ。それについて「紫苑Sは楽勝トライアルになった。買わなきゃ損です」と、関東在住の馬券師ライターが吠える。
「春の実績馬は好走と凡走に分かれる。ここの見極めは簡単ではない。ですが、夏の上がり馬の出番が少なくなったことは大きい。穴人気になる上昇馬をあれもこれもと買わなくてよくなった」
実際、16年以降の8年間で馬券圏内(3着以内)に来た24頭中、15頭が5月のオークスに出走していた。その内、13頭がオークスからこの紫苑Sへの直行組だ。そこから「今年はビッグチャンス」だと、前出の馬券師ライターが笑う。
「オークスからの直行組はホーエリートとミアネーロの2頭。奇しくも同じ中山競馬場で行われたフラワーカップのワンツー馬です。2頭の比較なら確実に2000メートルが合いそうな後者が上ですが、まあどちらも買えばいいでしょう」
では、人気を二分すると言われていたカンティアーモが出走を回避したことで、断トツ人気が予想される武豊騎乗のボンドガールはどうなのか。
「ボンドガールはオークス未出走だし1800メートル以上で勝利がない。しかも、ダイワメジャー産駒は堅実とはいえ、マイル前後と2000メートル前後では勝率がかなり違う。今年はダイワメジャー産駒の2000メートルでの勝利は1頭だけですよ。これでボンドガールのアタマを買うのは馬券で負ける人の典型でしょう。まあ、どうしても買いたい人でも押さえの2、3着で十分です」
オークス直行組の買い、ボンドガールの軽視はわかったが、3連単の相手はどうすればいいのか…。だが、前出の馬券師ライターはいとも簡単に〝買える馬〟を挙げた。
「出走予定馬の中で5頭が前走の条件戦で勝利している。ここはデータでいけます。ここ3年でその手の馬が2頭3着に来てますが、どちらも前々走から連勝中。つまり、ブレることなく本格化してきたという馬たち。それなら今回はエラトーとハミングの2頭に絞れる。もう3連単馬券は完成したも同然でしょう」
紫苑Sは圧倒的人気のボンドガールに固執せず、オークス直行馬をアタマに置く「重賞格上げ馬券」で勝負ということか。では、秋競馬のスタートを高笑いといこうではないか。
(宮村仁)