サッカー日本代表の主将を務める遠藤航が苦境に立たされている。
26年北中米ワールドカップ(W杯)のアジア最終予選では、中国戦とバーレーン戦で先発出場して存在感を発揮したが、所属クラブのリヴァプール(イングランド)では、いまだ出場機会に恵まれていない。
代表ウィーク前の第3節を終えた時点で、プレーしたのはわずか約4分間。歯がゆい現状にサッカー関係者は、さらなる危機が待っていると示唆する。
「過去には、当時の日本代表の主将を務めていた長谷部誠がドイツのヴォルフスブルクに所属していた時、クラブに移籍志願をしたゴタゴタで鬼軍曹のフェリックス・マガト監督に干されたことがあった。クラブで試合に出ていないのに代表には呼ばれ続けたことで、周囲からは疑問の声も。このまま遠藤がクラブで不遇の時間を過ごしながら、代表には招集されていった場合、批判の矢面に立つ可能性があることは十分に考えられる」
昨シーズンはリーグ戦29試合に出場している遠藤に出番が回ってこなくなったのは、アルネ・スロット新監督の就任が影響していた。
プレシーズンマッチでベンチスタートが多かったことで、序列が下がっていることは明白だったが、一瞬、遠藤に〝追い風〟が吹いたことはあった。
「新監督はボランチのポジションの補強を最優先にしていましたが、夏の移籍市場でスペイン代表のMFマルティン・スビメンディの獲得に失敗。新シーズンは現有戦力で臨むことになったのです」(サッカーライター)
サッカー専門誌では、U21イングランド代表経験のある若手のMFカーティス・ジョーンズが先発予想に上がり、遠藤とのポジション争いになるとみられていた。
だが、スロット監督は同じく若手のMFライアン・フラーフェンベルフを大抜擢する。しかも開幕から3試合に先発フル出場すると、いきなり覚醒したのだ。前出のサッカーライターによれば、
「190センチのサイズを生かした屈強なディフェンス、ほとんどミスをしないボール回しの展開力など、ハイレベルのパフォーマンスを披露し、3連勝に大きく貢献しました。昨シーズンとは見違える働きぶりを海外メディアが絶賛。今夏の『ユーロ2024』では出場機会がありませんでしたが、9月のUEFAネーションズリーグではオランダ代表で先発起用され、ドイツ代表を相手に堂々と渡り合っていましたね」
ノーマークの存在だったはずの〝オランダの怪物〟が高すぎる壁として立ちはだかったことで、遠藤のレギュラー争いはかなり厳しい状況になってしまった。
「昨シーズンにブレイクしたMFハーヴェイ・エリオットが9月に足を骨折しました。中盤のポジションの構成に変化が出て、遠藤にチャンスが回ってくることがあるかもしれませんが、スロット監督は冬の移籍市場で再び中盤の選手を獲得するようにフロントに要望しています。完全に干されムードです」(前出・サッカーライター)
遠藤の実力に疑いの余地はない。それだけにこのまま飼い殺しにされるのであれば、冬の移籍市場で環境を変えることが「最も望ましいこと」といえないだろうか。
(風吹啓太)