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広島カープを急失速させた「熱中症続出でも灼熱デーゲーム」の異様なこだわり

 6年ぶりの優勝を目前にしていた広島カープが大失速している。9月はここまで3勝11敗と大きく負け越し、とりわけ首位争いをする巨人、阪神との5連戦を「全敗」したことが致命傷となった。

 9月4日発売の野球専門誌「週刊ベースボール」では「それ行けカープ 勝利の雄叫びを上げろ!」と題し、広島優勝を後押しする特集が企画されていたが、発売日以降は怒濤の連敗で、表紙にデカデカと記載されていた「広島燃ゆ」の見出しが、別の意味で大炎上してしまった。

 広島ファンの間ではすでに、失速の検証が行われている。これまで踏ん張ってきた投手陣の崩壊、打てない野手陣、ベテラン重用で若手を使わない、謎の田中広輔起用、補強に金を使わないなど、その理由は様々だが、多くのファンが共通して指摘するのは「夏バテ」だった。

 広島は7月から9月にかけて5試合のデーゲームをこなしているが、いずれも猛暑日で、観客が熱中症で緊急搬送されるシーンが何回も見られた。阪神の岡田彰布監督は、広島に一気に1.5ゲーム差まで詰め寄った9月6日の試合後の囲み取材で、こう語っている。

「明後日の広島×中日、デーゲームらしいやん。この暑いのにキツいやろ」

 この言葉の裏には「球団はアホちゃうか。新井も気の毒やな…」という気持ちが込められていたのではないか。

 そもそもマツダスタジアムでは過去にも熱中症の症状を訴えるファンが大量に出て、スタジアム内の多機能ルームに敷物を敷いてファンに休息をとってもらう時があった。熱中症を訴えるファンを病院に運ぶための緊急車両が繰り返しやってくるのは、もはや日常茶飯事。他チームを見ると、ドーム球場以外ではどこもデーゲームなど行っていない。

 球団がデーゲームにこだわるのは、ナイターの照明代が不要、ビールなどの売り上げが伸びる、地元テレビ局の番組編成に好都合など様々だが、そこに選手やファンへの配慮は見られない。選手は連日の酷暑でかなり疲弊しており、本心では「いい加減、ナイターにしてほしい」と思っていることだろう。

 今季10勝している森下暢仁は幾度となくデーゲームに登板しているが、その疲れがどっと押し寄せたのか、8月27日以降は4連敗。いずれの試合も5回までに大量失点しており、明らかに疲労が蓄積している様子がうかがえる。

 まだ優勝への一縷の望みが残っているとはいえ、もし優勝を逃したら、いちばんの戦犯は新井監督や選手ではなく、球団上層部といえるのではないだろうか。

(ケン高田)

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