今はダメだが次もダメ。「進んでも地獄、退いても地獄」とはこのことか。
9月12日に告示され、27日の投開票へ向けて舌戦の火ぶたが切って落とされた自民党総裁選。小泉進次郎、石破茂、高市早苗が3強という下馬評の中、「やっぱりアナタもダメなのか」と国民を失望させた候補者がいる。高市早苗氏だ。
高市氏の問題演説について、政治部デスクが言う。
「高市氏には女性初の総理になってほしいという根強い声があることで、群雄割拠の今回はこれまで以上に期待を持っている人がいるわけです。ところが、所見は発表演説会で話した政治資金の話、これがあきらかに国民感情と乖離しているのではないかというわけです」
高市氏は今回の関心の一つである「政治資金」について、「それぞれが4000万円の政党交付金をすべて受け取っているわけじゃありません。ごく一部が交付されますけれど、最低限の政治活動をすると、パーティーなどを開かずにするのではちょっと足りない。それが現実」と話した。つまり国民の想像とは違い、国会議員は意外とカツカツだと主張した。
しかし、その政党交付金はまだしも、続けて言い放った内容が見るも無残に失笑を買い、「やっぱりアナタもダメなのか」と尾を引いているという。
「高市氏は国会議員の手取りについて言及しました。そして、こう言ったのです。『大方の同僚議員の皆様は、たいがい手取り30万円台だと思います』と。さらに『少ない方、議員連盟にたくさん入っていらっしゃる方だと20万円台』と。特に3連休が明けてからでしょうか、一部のアンチがこの高市氏の発言を拡散したんですね。すると〝手取り〟という言葉を安易に使った高市氏に老若男女問わず疑問の嵐なんです。額面がいくらなら手取りがどのくらいになるかは、自分たち労働者の方が知っていると。そして高市氏は〝手取り〟と〝自由に使えるお金〟を混同してないかと批判だらけになっています」(週刊誌記者)
労働者は手取りの中から光熱費を払い、養育費を払い、家賃を払い、食費を払っている。そして、残りが自分で使えるお金だ。はたして、毎月の歳費が約130万円、ボーナスが約300万円という国会議員の生活が、手取り20万~30万の一般人と同じだろうか。「どう計算したらそうなるんだ?」と、あきれる声が充満するのは当然だろう。
「高市氏は小泉氏のような世襲議員ではありませんから、国民はもう少し庶民感覚がわかっているのでは…という淡い期待が打ち砕かれた感じですね。結局は何もわかっていない上級国民と同じというわけです。もし自分たちが国民と同じように手取りが30万程度と言うなら、それを証明するコピーか何かを提示するべきという意見はもっともでしょう」(前出・週刊誌記者)
とはいえ、国会議員に庶民感覚を求めることが時間の無駄で、政策がきちんとしていればいいという正論は少なくない。
しかし、自民党の支持率が急落した理由はとにもかくにも「政治とカネ」の不始末だ。それがわかっているのなら、総裁選での演説ぐらいはもっと国民感情をうまくつかむ術を使ってはどうか。
(田村元希)