ついにあのダイソーが100円ワインを販売した。ワイン業界を驚かせる価格はどうなしえたのか? また何より気になる肝心の味とは──。
この100円ワインの容量は250ミリリットル。3本飲めばボトル1本分になるが、それでも値段はたったの300円だ。しかも、「シラー」「メルロー」「シャルドネ」‥‥など、赤白ロゼ7種類という品ぞろえで、全てフランス産である。
ダイソーがワインの販売を開始したのは12年頃のこと。当初、この商品は200円という価格設定だったが、昨年11月に100円に改定した。円安の影響で日用品の値上がりが続く中、なぜ値下げに踏み切ることができたのか。
東京では原宿店など、一部店舗でしか入手できないワインの秘密をダイソー広報室に問い合わせると、担当者はこう答えるのみ。
「詳細についてはコメントを控えさせていただいています」
深まる謎を解こうと輸入元である三菱食品に問い合わせたところ、価格の秘密に迫ることができた。
「ワイナリーごと買い占めるようなことはしていません。2、3年ほど前にフランス南部のラングドック地方にある契約工場で瓶詰めまでを行い、コンテナ船で輸入。ダイソーさんのオリジナル商品として卸売りしたものです」(三菱食品担当者)
現在、ユーロと円は1ユーロ=138円台で取り引きされているが、当時ユーロは100円台で推移していた。円高時代に輸入されているため、価格引き下げの余地はあったと言えよう。
さらに、流通コンサルタントの佐川保氏はその理由をこう分析する。
「低価格帯のワインは陳腐化、劣化が早い。そのため余剰在庫を持て余し、商品価値をゼロにするくらいなら、ディスカウントして在庫を減らしたほうがいいという考えがあったはず」
全店販売ではないことから、今回の販売は実験的な取り組み。話題作りの一環という見方もできるという。価格の謎は解けたが、重要なのは味である。
試飲を依頼したのは「ぶらり途中下車の旅」(日本テレビ系)などに出演し、食レポート5000店以上の実績を持つ、グルメ俳優の阿藤快(68)。おそるおそるボトルを見つめるのだった。
「ボトルやラベルは立派だね。酸化防止剤の臭いがキツイから安物のワインは苦手なんだよね。大丈夫かな‥‥」
まず口にしたのが「ピノ・ノワール」の赤ワイン。
「香りは立っているけど、色は薄いね。でも、さっぱりしていて飲みやすいよ、これ。今日は常温で飲んだけど、少し冷やしてもいいんじゃない。風呂上がりにもぴったりの爽やか系ってところじゃない」
続いては「カベルネ・ソーヴィニョン」と「シラー」の赤ワインをゴクリ。
「『カベルネ』は何だかなぁ‥‥。どっちつかずの中途半端な味だね。これはもういいや。逆に、『シラー』のほうは、まろやかな口当たりで、赤ワインらしいしっかりした飲み応えがある。これは、なかなかのもんですよ!」
さらに、彼は、白ワインの「シャルドネ」にも手を伸ばす。
「これはフルーティー。甘みと酸味のバランスもいいよ。レーズンやチェリー、あたりめを肴にするといいんじゃない」
全7種類のワインを試飲し、すっかりほろ酔いになった彼は、ご満悦の表情でこう総括するのだった。
「僕がたまに行くイタリア料理屋で飲むハウスワインと何ら遜色ないよね。事前に値段のことを聞かされていなかったら、ボトルで3000円くらいって言っちゃうんじゃない。いやいや100円で味わえるとは、ちょっと感動したよ」
阿藤快も太鼓判を押す100円ワイン。一度は試してみる価値がありそうだ。