アサヒ芸能14年12月18日号で報じた、野球評論家・野村克也氏(79)の極秘入院と大手術。術後の病状が心配される中、マスコミやイベントなどから姿を消している間も、著書を出版していた。その中身たるや相変わらず毒舌そのもので‥‥。
昨年10月中旬に都内病院に入院して検査後、約1カ月後に一時退院。11月下旬に再入院して12月上旬に手術──。野村氏を襲ったとされるのは、心臓疾患の「解離性大動脈瘤」。血管内の膜に血流が入りコブができる重大病だが術後、1月上旬には退院、現在は自宅療養中だ。
球界関係者が明かす。
「髪の毛は真っ白、体重が約20キロも減った。もちろん春季キャンプにも行けないでしょう。ただ、退院当初は第三者に支えられながら手すりにつかまらないと階段を上れなかったのが、今は1人でも上れるようになったとか。しかし復帰のメドはまだ立ちそうにない」
沙知代夫人(82)は野村氏が表に出ない理由を知人やマスコミ関係者に聞かれると、「ちょっと膝が悪いだけよ」。さらには「手術もしていない」と説明しているという。かえってコトの重大さを思わせるのだ。
実は野村氏が手術を受けていたまさにその頃、その不在をかき消すかのように著書が出版されていた。もちろん、入院前に書かれたものだろう。
その著書「リーダーのための『人を見抜く』力」(詩想社)で野村氏は、人材育成や組織運営について持論を展開しており、野村氏が関わった野球人が何人も論評されている。
例えばヤクルト時代の教え子で、先頃、野球殿堂入りした古田敦也氏(49)。日本一になった記念のオーストラリア旅行時のこと。成田空港で母親を連れて通りかかったが、その場でも飛行機内や現地でも挨拶に来ない。いよいよ帰国する日にようやくシドニーの空港で、新聞記者に促されて挨拶に来たという。野村氏はこう断じている。
〈たかが挨拶であるが、そういった小事に気づかない鈍感なところが当時の古田にはあり(中略)まさにプロの高いレベルでの戦いとなると、最後はそういった人間性の部分になってくるのだ。(中略)古田が監督として、満足のいく結果を残せなかったのも、そんなことが関係していたのではないかと考えている〉
何とも辛辣だが、スポーツ紙デスクはこう話す。
「ヤクルト監督時代、ノムさんは古田のことをボロクソに言っていました。『球場で会っても挨拶もしない』『年賀状のひとつもよこさない。これだけ一流の選手に育てたのに』と」
鉄拳制裁への疑問も呈している。
〈気合だ、根性だと言って監督が選手を殴って、はたして選手は上手くなるのだろうか〉
スポーツ紙デスクが続けて解説する。
「これは星野仙一氏(68)のことを念頭に置いていますね。ノムさんはかねがね、『野球は頭や』と言う。星野氏はその逆、精神論主義者だとして対極にある。最も気に入らないのは、ノムさんは『内角を攻めろ』だけど、星野氏は『ぶつけろ』と言う点。死球で選手生命が終わることもあります。だから『(頭を使って)ちゃんとした配球をしていればぶつけなくても打ち取れる。そこが嫌いだ』とも‥‥」
現役選手では巨人の阿部慎之助(35)らに言及し、「名捕手がいない」と嘆く。
〈今の子どもたちが憧れるキャッチャーといえば、間違いなく巨人の阿部だろう。だが、彼が突出しているのはリード面ではなくて、3割を打ち、ホームランも30本以上打てる卓越したバッティングセンスのほうだ〉
前出スポーツ紙デスクは、
「ピンチの時にワンバウンドでも振らせる布石を打つ、そんな配球をしておけ、とノムさんは言っていた。でもピンチで外一辺倒、リードが単純な阿部は評価していない」
その阿部は、今季から一塁に転向。著書もいいが、ノムさんにはぜひ完全復帰して“ナマ毒舌”を聞かせてもらいたい。