プロ野球ペナントレースが最終盤に差しかかる中、現役引退を表明する選手が続々と出てきている。実はオリックスの引退選手をめぐり、侃々諤々の論議が交わされているのだ。
長年チームを牽引してきたT-岡田と安達了一の引退に際しては、球団が引退セレモニーの開催を決定したが、なんとビジター席でオリックスの応援グッズの使用を許可したというのである。
この引退セレモニーは9月24日のホーム最終戦となる西武戦終了後に行われ、その様子は球団公式YouTubeチャンネル「BsTV」で生配信される。球団は引退セレモニーについて「試合終了後に行う本拠地最終戦セレモニー開始以降に限り、ビジター下段外野指定席においてもバファローズの服装の着用・応援グッズの使用を可能と致します」と発表した。
ところが通常、ビジター下段外野指定席では観戦ルールとして「ビジター球団以外の球団の応援行為・服装の着用・応援グッズの使用はできません」としていることで「相手ファンに失礼だろ」と一部ファンの反感を買うことに。
確かにビジター席でT-岡田や安達の応援グッズを掲げられたら、不快に感じる西武ファンが出てくることは容易に想像できる。近年は日本ハムやソフトバンクもビジター席での対応を厳格化させており、逆行する流れに異議を唱えるのは当然だろう。
ただし、試合後のセレモニー時のみのグッズ使用許可であり、「最後のセレモニーくらいは球団とファンの枠を越えよう」と寛容な姿勢を見せる者もいる。
9月14日にはベルーナドームで西武・岡田雅利捕手の引退セレモニーが行われた。岡田はファンに向けた挨拶でカンペを取り出すと、
「このような場を設けていただいたのは、僕の人柄なのでしょうか。両親、おやじ、小さい時から野球を教えてくれてありがとう。おかん、ずっと味方でいてくれてありがとう。しかし! もう少し強い膝が欲しかったです。O脚すぎました!」
スタンドは大爆笑で、西武ファンだけでなく、ロッテファンも大盛り上がりだった。
引退セレモニーに対する意見は様々で、ファンの思いが交錯しているのは確かだが、ここはひとりのプロ野球ファンに立ち返って、T-岡田と安達に敬意を表してもいいのではないだろうか。
(ケン高田)