主将としてサッカー日本代表を牽引する遠藤航も、プレミアリーグ(イングランド)に帰れば、タダの控え選手になってしまう。所属するリヴァプールで、すっかり冷遇されているのだ。
9月18日、欧州チャンピオンズリーグのACミラン戦で遠藤に出番が回ってきたのは、後半ロスタイム。わずか4分間のみだった。なんと今季の公式戦出場時間は、合計でも10分に満たない状態なのだ。
昨季、遠藤はリヴァプール移籍初年度ながら、シーズン中盤にレギュラーを獲得した。それがこうも待遇が変わってしまったのは、今季から指揮を執るアルネ・スロット監督のせいだ。
「リヴァプールほどのビッグクラブになれば、普通はターンオーバー制をチームに導入します。リーグ戦のほか、チャンピオンズリーグに代表戦と、疲労を特定の選手に集めないよう工夫するのですが、スロット監督は今のところ、スタメンをほぼ完全に固定する戦法をとっています。遠藤だけでなく、他の控え選手も全く試合に出られない状況が続いています」(サッカー誌編集者)
地元メディアもこの采配には批判的だというが、日本にあっては猛烈な批判が巻き起こっている。なにせ我が国の代表選手を蔑ろにしているのだから、スロット監督による「アジア人差別だ」との声まで上がり…。つまりは「スロット監督っていったい何様のつもりなんだ?」ということだ。
「スロット監督がアジア人差別をするような人物かというと、それは誤解です。昨季まで率いていたオランダの名門フェイエノールトには日本代表の上田綺世が所属し、エースがケガで出場できなくなった終盤戦では上田を重用して、結果を残しているからです」(前出・サッカー誌編集者)
人種の違いや好き嫌いで選手を起用するタイプではないというのだ。なのになぜ、遠藤は試合に出場できないのか。
「いちばんの理由は、スロット監督の戦術的指向が、かなり極端に攻撃面に寄っているからでしょう。バルセロナ、バイエルン・ミュンヘン、マンチェスター・シティというビッグクラブを渡り歩いて成功を重ね、現代ポゼッションサッカーの最先端をいくペップ・グアルディオラ監督の信奉者で、攻撃参加に課題を残す遠藤は、必然的に序列を落としてしまっています」(サッカーライター)
とはいえ、スロット監督は選手時代の大半を、オランダ2部で過ごしている。日の目を見ない選手の気持ちはわかるはずで、遠藤にもう少しチャンスを与えてもいいのに…。
「選手の特徴を生かして戦術を組み立てるタイプではなく、多士済々のリヴァプールにおいては、自分の理想のサッカーに対応できる選手を起用することに腐心しているように見えます。ましてスロット監督は45歳で、指揮官としてはまだ若くて野心的。AZとフェイエノールトでめざましい結果を残し、リヴァプールにステップアップと、急激なキャリア上昇の真っただ中にいます。このまま成功するにしても失敗するにしても、自分の理想と心中できなければ、その結果に納得できないでしょうしね」(前出・サッカー誌編集者)
これではチームの守備が崩壊しない限り、遠藤の受難は続くかもしれない。