プロボクシング世界4団体統一スーパーバンタム級王者の井上尚弥を筆頭に、軽量級では続々と世界王者が誕生している日本ボクシング界だが、相変わらず、世界との「距離」が遠いのが中・重量級だ。
直近の中・重量級の世界王者は、ロンドン五輪金メダリストでミドル級(72.57キロ以下)の村田諒太。そもそもライト級(62.23キロ以下)より上は、世界戦に挑戦できるような逸材がいない状況が長い間、続いてきた。
そんな中、世界に通用するヘビー級ボクサーの育成に乗り出したのが、元3階級制覇世界王者で、現在はジムの会長・プロモーターとして興行を手掛ける亀田3兄弟の長男・興毅氏だった。
自身が手がける興行で2022年から、アマチュア時代に重量級で活躍していた但馬ミツロを売り出し、2023年10月まで10戦全勝8KOを記録。世界4団体のうちWBCとWBAが新設した、ヘビー級とクルーザー級の間に位置するブリッジャー級(90.72~101.6キロ)の世界タイトル獲得に照準を合わせた。
ところが今年3月、WBC同級29位のルーマニア人選手と対戦したものの、判定負けでプロ初の黒星となった。
「この試合前までは相手を探すのが難しく、なんとか試合が決まっても、但馬とのレベルが違いすぎた。しかしルーマニア人選手にはダウンを奪われるなど、世界レベルの実力を思い知らされました。そもそも国内にヘビー級のスパーリング相手がいないのが悩みの種」(ボクシング関係者)
しかしここにきて、日本ボクシング界に明るい話題が。9月17日、東京・後楽園ホールで日本ボクシングコミッション(JBC)のプロテストが行われ、WBC世界バンタム級王者・武居由樹のK-1時代の所属ジム後輩で、K-1ヘビー級の星龍之介が合格。ボクシングに転向し、武居と同じ大橋ジムからデビューすることになったのだ。
「星は高校生の頃から極真空手で活躍し、かつては124キロあったのですが、90キロまで減量したナチュラルな重量級です。キックボクシングのプロ戦績は7戦5勝2敗で、勝っても負けてもKO決着。おそらくボクシングではクルーザー級かブリッジャー級で戦うと思われますが、但馬とライバル関係になれるぐらいに成長して、切磋琢磨して日本の重量級を盛り上げてほしい」(前出・ボクシング関係者)
期待の逸材の飛躍が待ち遠しい。
(高木光一)