かつて4球団が競合した「ドラ1右腕」が正念場を迎えている。
中日の根尾昂がウエスタンリーグの広島戦で、7回1失点10奪三振の好投を見せたのは9月16日。だが2軍の打者をキリキリ舞いにさせようが、1軍のマウンドは遠い。スポーツ紙デスクが解説する。
「今季の1軍登板は3試合だけです。唯一の先発登板となった8月4日の広島戦で、3回6失点と大炎上。翌日に登録抹消されてから2軍調整を余儀なくされています。ストレートこそ140キロ中盤を計測していますが、スライダーやフォークのメカニックは非常に大雑把。1軍では簡単にストライクとボールを見極められてしまい、甘いコースを痛打されてしまいます。9月18日にチームの不振を理由に自ら退任を発表した立浪和義監督もろとも、お払い箱になりかねないひとりです」
2018年にチームの将来を担う内野手として入団するも、2022年途中に投手に異例のコンバート。当時はその試みを「二刀流」ともてはやすメディアがあったが、さる球団OBが言うには、
「クビにできないから、苦肉の策で投手をやらせていただけ」
として、次のように続けた。
「まず、打つ方では完璧主義な性格が災いした。例えば3割バッターでも、当たり損ないがヒットになることは珍しくない。ところが根尾の場合は『結果オーライ』が通用しない。少しでも理想から逸脱してしまうと、悩みに悩んで打撃フォームを再考してしまう。これには立浪監督も『アイツの頭の中を見てみたい』と困り果てていた」
課題は打撃だけではない。ポジション争いでも同世代の後塵を拝しているのだ。
「2年後輩の龍空には内野守備で、1年後輩の岡林勇希にも到底及びません。守備固めとして起用するにも物足りないレベルです。高校時代は投手、内野手、外野手で活躍した甲子園のスターかもしれないけど、アマチュアレベルの『器用貧乏』だと、プロの世界で生き残るのは難しい。それでも中日新聞の購買層のいるエリア出身の選手は、簡単に戦力外にできない。球団としては、リリーフでも戦力になれば御の字でしょう」(前出・球団OB)
今季の残り試合で爪痕を残すチャンスがあればいいのだが…。