新たな立憲民主党の顔は野田佳彦元首相に決まった。同党の臨時党大会と代表選挙が9月23日に東京都内で行われ、決選投票の結果、野田氏が枝野幸男元代表を破り、新代表に選出された。全国紙政治部デスクによれば、下馬評通りだという。
「国会議員は野田氏を推し、リベラル色の強い地方議員は枝野氏を推したことが、今の立憲民主党を象徴しています。蓮舫氏が2番にすらなれなかった『都知事選ショック』により、過激なリベラル色が強いままでは次の選挙に勝てないとの危機感が、党内にはありました」
代表選当日、ロシア軍の哨戒機が礼文島北方を3回も領空侵犯し、航空自衛隊の戦闘機がスクランブル発進(緊急発進)。対領空侵犯措置としては初めて、赤外線誘導ミサイルなどを攪乱するフレア弾(火炎弾)を発射した。
中国、ロシアの領海領空侵犯が相次ぐ中で「集団的自衛権」を認めない日本共産党と選挙協力の姿勢を見せる泉健太前代表、代表選期間中に日本人学校に通う10歳の男児が襲撃、殺される事件があっても、無神経に「親中国、反米国」を叫んでいた枝野氏に「レッドカード」を突きつける最低限の良識は、立憲民主党の国会議員と党員に残っていたということだろう。
だが、立憲民主党のお家芸「醜い罵り合い」は相変わらずのようで、決選投票前の決意表明で野田氏が、
「誇りを持って、堂々と子供の育ちや学びは社会が支える。『親ガチャ』などという言葉は死語にしようじゃありませんか」
「弱い人を助ける政治の国は終わり。弱い人が生まれない社会を作る。この国に生まれてよかった、『国ガチャに当たった』と言える国を作ろうじゃありませんか」
そう訴えたのだが、匿名アカウントだらけのXは大炎上。
「国ガチャという言葉は外国人を排斥している」
「ガチャなんて言葉を使うことが失言だ」
リベラル勢力のお家芸「他罰思考」「言葉狩り」が始まり、野田氏が発した「#国ガチャ」は、Xでトレンド入りした。
確かに野田氏の「親ガチャ」発言は、これまた立憲民主党のお家芸「ブーメラン芸」だろう。旧民主党の鳩山由紀夫代表や、8月に「中国共産党のご機嫌伺い」に北京まで行った岡田克也幹事長など「親ガチャに大当たりした人達」の財力で潤ってきた立憲民主党が、どの口で「親ガチャ反対」を言えるのか。
しかも旧民主党が2010年に育児世帯の年少扶養控除、税制優遇を廃止したことも「親ガチャのハズレ」と無縁ではない。年少扶養控除廃止後の2012年以降、日本の新生児の出生数は統計開始以降、過去最悪を毎年のように更新し続け、今年の新生児出生数は在日外国人の子供を含めても、70万人を切る見込みだ。
子供や若者は減り続けているのに、高齢者だけが増え続けるのだから、サラリーマンの生活はますます苦しくなり、自衛官や警察官のなり手は減り、中国やロシアの領海領空侵犯はさらに悪化するのは明らか。
我々の悲劇は「国ガチャ」に外れたのではない、与党にも野党にも投票したい人が1人もいない「政治家ガチャ」でハズレばかりを引き続けていることにある。
(那須優子)