自民党総裁選で高市早苗経済安全保障担当相が当選する可能性が急浮上してきたことに伴い、反動が起きている。高市氏が首相に就任後も靖国神社を参拝したい意向を示していることへの批判だ。しかもそれを特集したのが朝日新聞やTBSなどのリベラルメディアではなく、BSフジだったことが波紋を広げている。
BSフジの報道番組「プライムニュース」に出演したのは、元共同通信記者で政治評論家の後藤謙次氏、政治学者の中北浩爾氏、元防衛相の森本敏氏。高市氏が靖国参拝を堅持する姿勢を示していることについて「理解に苦しむ」(後藤氏)、「日本国の総理大臣が行くことが適切なのか、冷静に判断しないと」(中北氏)と非難した。
元自衛官の森本氏は「まったく2人に同意」と述べた上で、次のように断言した。
「個人がやればいいんです。内閣総理大臣という肩書きで行くということが、いかに日本の国益を損なうか。日韓関係は乗り切れるかもしれないけど、日中はもうとにかく身動きならない状態になる」
テレビ局は異なる考えの持ち主を出演させてバランスを取るものだが、この日は出演した3人ともに、高市氏を非難した。さっそく高市支持派の自民党ベテラン議員からは「公平性に欠ける」との批判が出ている。
このベテラン議員は、番組コメンテーターの人選に疑問を投げかけた。
「番組キャスターの反町理氏は政治部時代に旧中曽根派を担当し、石破氏も同派に所属していた。この日の番組を見ると、反町氏と石破氏の仲の良さを反映し、石破推しとの誤解を与えるのではないか」
テレビ番組にまでいちゃもんをつけるほど、総裁選は熾烈を極めているのである。
(高橋昌行/政治ジャーナリスト)