沖縄におけるホテルの開業ラッシュが止まらない。集中しているのは主に那覇市内で、旅行予約サイトのデータによると、2019年と比較して那覇市内のホテル施設数は221軒から374軒に急増した。特に外資系リゾートホテルの進出は著しく、これまで那覇市内では少なかったリゾート型ホテルが次々とオープンしている。
こうした流れの中、影響を大きく受けているのが、長年営業を続けてきたビジネスホテルや中級ホテルだ。那覇市内のホテル従業員は、現状を次のように語る。
「コロナ前の2019年と比べると、那覇市内のホテルは約150軒増え、部屋数が約6000室、増加しました。ところが宿泊客は8割程度しか戻ってきておらず、競争は激化しています。那覇は初めての観光客には魅力的ですが、リピーターは石垣島や宮古島などの離島に流れやすい傾向があります。当ホテルとしても集客を図るために価格を下げたいのですが、物価高や人手不足の影響でそれが難しい状況です」
そのため、ビジネスホテルや中級ホテルでは、無料サービスで差別化を図る工夫をしている。ホテル従業員が続けて説明する。
「例えば沖縄名物オリオンビールの無料飲み放題、シャンプーや館内着、枕を選べるサービスなどですね。最新設備やリゾート感では外資系に勝てませんが、無料のサービスやおもてなしで違いを出すしかないんです」
沖縄の観光産業はコロナ禍を経て回復基調にあるが、外資系リゾートホテルの台頭や新たな需要の変化に対応するため、既存のホテルは厳しい競争にさらされている。今後、沖縄全体の観光戦略においても、この競争環境をどう乗り越えるかが大きな課題となるだろう。