あの清原和博氏を父に持つ慶應大学の清原正吾が10月7日の東京六大学リーグ東京大学戦に4番・三塁で先発出場すると、4回裏に先制本塁打。5回裏に適時打の2打点で、チームを勝利に導いた。
スタンドから父が見守る中、3戦連続となるマルチ安打の活躍。ここにきて、プロ球団スカウトの評価はうなぎ昇りだ。当初は育成や下位指名が順当とみられていたが、上位指名を検討するチームが出てきそうだ。
二世選手が必ずしもプロで大成するわけではないが、父譲りの遠くに飛ばす才能は、まさに折り紙付き。今からドラフト会議を楽しみにしている野球ファンは多いだろう。そんな中、清原と対戦した東大の「サブマリン」投手にも視線が注がれた。
この日、先発登板したのは、東京都内でトップクラスの進学校・海城高校から東大野球部入りした渡辺向輝だ。今ではあまり見ることがないアンダースロー投手で、父親は元ロッテの渡辺俊介氏という、清原にも引けをとらないサラブレッド。今春は8試合を投げて防御率2.45。秋からは先発に昇格し、今では東大投手陣に欠かせない存在になっている。
その投げ方を見ると、なんと父親とウリふたつ。2人の投球フォームを動画で比較検証し、全く同じであると結論づけるニュース番組もあった。
圧巻だったのは9月21日の明治大学戦だ。渡辺は秋季リーグ負けなしの明大を相手に、8回100球を投げて自責点0の好投。2番手以降の投手が打ち込まれたため、チームの勝利こそかなわなかったが、東大の投手がこれほどの活躍を見せるのは、かなりのレアケースといっていいだろう。
渡辺は父と同じように、スピードよりも変化球を駆使して打者を抑えていく「技巧派」タイプの投手。身長は167センチと恵まれているわけではないが、どこかロマンを感じるのだ。
渡辺は高校時代、神奈川・湘南高校から現役で東大文科一類に入学して2017年のドラフトで日本ハムに入団した宮台康平投手を見て、東大野球部に入部することを決めたという。プロ入りについては「もしもそういう機会があれば、できるならやってみたい」と答えており、実現すれば、親子2代にわたるサブマリン投法が見られることになる。
慶大戦では清原に一発を浴びてしまったが、プロの世界でリベンジを果たしてほしい。
(ケン高田)