やはり不死鳥なのだろう。ミスターは退院と早々の現場復帰に向け、周囲を驚かせるほどのハイペースでリハビリに力を注いでいるという。そして、それは終身名誉監督として、「巨人軍の顔」を守り抜く執念さえも感じさせるというのだ。
ミスターこと長嶋茂雄終身名誉監督(82)は胆石の治療のため、7月から東京都内の病院に入院中。当初は18年11月10日に出身地・千葉県佐倉市で行われた「長嶋茂雄少年野球教室」で参加者の子供たちを直接指導することを予定していたが、結局、かなわなかった。しかも、その直前の10月にはメディアの間で二度にわたる「死亡説」まで駆け巡り、入院中の都内の病院前に大勢の報道陣が集まる騒ぎに発展したことも。これら“大誤報”の背景について、スポーツ紙デスクはこう打ち明ける。
「『死亡説』は、どちらも完全なガセでした。一度目は大手通信社の東京本社が不測の事態に備えて予定稿を作成し、そもそも各地方支局にマル秘扱いで仮配信したことが発端。いったいどういう経緯でそのようになったのか‥‥。尾ひれが付く形で外部に漏れ伝わってしまい『ミスターが危ないらしい』と解釈されて、バーッと広まってしまった。二度目は日本シリーズ開幕直前に球界有力OBや関係者の間で『ミスターはすでに亡くなっており、日本シリーズ終了後に正式発表となるらしい』と、まことしやかにささやかれたこと。これも根も葉もない話で、メディアの担当記者は10月、長嶋氏の安否確認に振り回されっぱなしでした」
その後も「リハビリに苦慮し、食事もノドを通らず激痩せしている」との噂が飛び交うなど、信憑性の低い怪情報にメディアは右往左往していた。
こうした流れに歯止めをかける格好となったのが、11月23日に都内のホテルで開催された「名球会フェスティバル2018 前夜祭」での出来事。セガサミーホールディングス代表取締役会長でグループCEOの里見治氏が、名球会総会を欠席した長嶋氏について「少なくとも年内には1回退院してご自宅に戻ると聞いている」と発言したからだ。
さらに12月1日、都内のホテルで催された「読売巨人軍OB会総会」でも、巨人・山口寿一オーナーが「順調にいけば、年内に退院ということになると伺っております」と言い切った。年内退院がガゼン、現実味を帯びてきたのである。
長嶋氏本人の闘魂もメラメラと燃え上がっているようだ。球界関係者が話す。
「入院期間が当初の予定よりも長引いているのは、80歳を超えている体に極力負担をかけないよう、胆石を取る手術に時間をかけ、レーザー照射を少しずつ行っているからだといいます。それでも食欲はかなり旺盛で、用意された食事もぺロリと平らげてしまうほどだそうです」
「顔色もよく、入院前と体重もそれほど変わらないようだ」との証言も聞こえ、リハビリもバリバリこなしているという。長嶋氏に近い関係者がこう証言する。
「あまりにミスターのペースがすごいので、病院側の理学療法士が『もう十分なので、これ以上は無理なさらないでください』とストップをかけることもあるそうです」