メジャーリーグはポストシーズンの真っただ中。日本時間10月9日にはサンディエゴのペトコ・パークに4万7000人を超える同スタジアム最多記録の観衆を集めて、パドレス×ドジャースの地区シリーズ第3戦が行われた。
勝てばリーグチャンピオンシップへ王手がかかる試合は、2回裏に一挙に取った6点を守り切り、パドレスが6-5で勝利。これで2勝1敗とし、大谷翔平所属のドジャースを崖っぷちへと追い込んだ。
「2回裏、内野ゴロでセカンドへ走るパドレスの4番マニー・マチャドの、守備妨害スレスレの走塁が明暗を分けました。ドジャース側がチャレンジしなかったのは不思議でしたが、この後に6失点ですし、最終的に1点差の敗戦ですから悔やまれるでしょう。第2戦ではマチャドがロバーツ監督に向かってボールを投げた疑惑がありました。チームのため、勝利のためなら何でもやるという不良番長といった感じの暴れっぷりで、今回はドジャースの選手たちより存在感で上回っていますね。日本ではマチャドのアンチが急増中で『ダルビッシュには悪いけど、パドレスが汚すぎて応援できない』という声が聞かれます」(スポーツライター)
一方で、ドジャースのベンチでは、激しさだけなら負けないシーンがあった。2回裏のマチャドの走塁を機に、味方のフィルダースチョイスなど不運が重なり、6失点を喫したウォーカー・ビューラーがベンチに戻るなり、大暴れ。何かをまくし立てながらグローブを地面に叩きつけ、さらにベンチに置いてあった箱形の機材をわざわざ持ち上げ、壁に投げつけて破壊するほど激高したのだ。
「今シーズン1勝6敗とイマイチだったビューラーですが、この日はとてもよかった。それが相手の微妙な走塁と、味方のマズい守備に足を引っ張られたあげく、ようやくたどり着いた2アウトからダメ押しの2ランをタティスJr.に打たれてしまった。相当、頭に血が上ったんでしょうね。日本のプロ野球なら問題視されそうなほどの暴れっぷりでした」(前出・スポーツライター)
そんなビューラーの激高をよそに、「さすが名将」と株が上がったのが、ドジャースのロバーツ監督だった。
「ビューラーがまさに破壊行為をしているすぐ横で見向きもせず、ピクリとも反応しないロバーツ監督の堂々とした佇まいに、さすがメジャーの監督は違うと、日本の野球ファンは関心しきりだったようです。その直後にドジャースが4点を取って、完全にパドレスに行きかけた流れを止めた。監督の落ち着きに感銘を受けたようですね」(前出・スポーツライター)
大暴れのビューラーをそのまま5回まで続投させ(その後は無失点)、今後も使えるように自信を持たせた手腕は、称賛されてしかるべきだろう。
もう1敗もできないドジャースだが、明日以降の戦いでミラクルを起こす可能性は十分に残っている。
(田村元希)