Jリーグ三大タイトル19冠を誇る名門・鹿島アントラーズが揺れている。今シーズンから指揮を執ったランコ・ポポヴィッチ監督を、シーズン途中で解任。同時にミリッチ・コーチとの契約も解除した。さらに2022年から強化責任者に就いた吉岡宗重フットボールダイレクターと、協議の末に双方合意で退任することとなった。シーズン途中で監督とコーチ、強化責任者が同時にチームを去るという異常事態である。
鹿島アントラーズに何が起きているのか。元日本代表でチームOBの名良橋晃氏が自身のYouTubeチャンネルで、内部事情を明かした。まずは監督解任の理由だ。
「このまま継続してもビジョンが見えなかったから、思い切ってクラブとして決断をしたんじゃないかなと思います」
さらに吉岡FDについては、
「吉岡さんはポポビッチ監督と大分で一緒にやって、ポポビッチを使うとなった段階で覚悟を持ってたと思うんです。結果が出なかったら辞める、という覚悟を持って今シーズンやってきた。その中で苦しいチーム事情だったので、クラブが決断をしたのではないか」
新監督には中後雅喜コーチが昇格。同時に羽田憲司氏、本山雅志アカデミースカウトがトップチーム・コーチに就き、中田浩二プログループマネージャーがフットボールダイレクターに就任した。クラブOBが次々と起用されたことに、奈良橋氏は、
「OBを起用するのは、僕的には嬉しいですよ。ただOBを招聘した中で、監督としてダメだったから、じゃあもう辞めてくださいっていう中途半端な使い方が続いている。OBの立場は大事にしてほしい」
そう言ってクラブに注文をつけた上で、
「クラブとしても覚悟を持って、我慢して監督を起用してほしい。そこはサポーターも一緒。いろいろな意見があるけど、本当に新しいアントラーズを作るんだったら、サポーター、クラブ、OBが我慢してしっかりと土台を作ってほしい」
クラブOBに関する提言はさらに続く。
「勝たなきゃいけないチームですし、優勝を義務づけられてるチームなんで、仲良し集団ではダメ。そこはシビアに考えないといけない。OBで固めてもいいんですけど、監督に意見を言える人がいないと、絶対に強いチームになれない」
クラブOBを重用する鹿島の姿勢は凶と出るのか、吉と出るのか。Jリーグ優勝争いよりも面白そうだ。
(鈴木誠)