日本テレビはもうドラマを作らない方がいい…。そう思えてしまう理由が、直近の2作品の視聴率にある。
10月5日に放送されたドラマ「潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官」の初回は個人視聴率2.5%(ビデオリサーチ調べ、関東/以下同)。翌6日から始まった日曜ドラマ「若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―」も個人2.3%と、いずれも低調な出だしだった。
「潜入兄妹」は竜星涼と八木莉可子のW主演。父親を殺害した巨大犯罪組織を殲滅するため、組織に潜入した兄妹の活躍を描くオリジナルストーリーだ。これが視聴者からは「既視感ある構成」「すげぇ安っぽいけど大丈夫なんかこれ」と不安視されている。
堀田真由が主演の「若草物語」は、アメリカの作家オルコットによる同名小説を原案に、舞台を現代日本に置き換えて描かれるコメディーだ。脚本のつたなさゆえか、これまた「ドライヤーかけながら暇潰しに見るドラマ」「深夜ドラマっぽい」などと、散々な評価なのである。
かつてはヒット作、話題作があった日本テレビのドラマだが、このように局内では不良債権化している感がある。なぜかといえば、
「ズバリ、自分のところで脚本家を育てていないからです。フジテレビやNHK連続テレビ小説、日曜劇場など、他局で売れている作家、ライターを呼んでは書かせているだけなので積み上げがないし、ライターからの信頼もない。日テレは『シナリオ登龍門』という新人コンクールを毎年開いていましたが、2005年に廃止された。危機感を覚えたのか、18年ぶりに『日テレ シナリオライター コンテスト』という形で復活し、今年7月に受賞者が発表されました。が、どこまで新人を育てていく気概があるのか不明です。それに加えて『セクシー田中さん』問題で浮き彫りになりましたが、原作頼みにもかかわらず、原作者をないがしろにする風土がある」(放送作家)
脚本がイマイチだと、いいキャスティングもできない。悪循環を断ち切るために手厚く書き手を育てていかないと、日本テレビのドラマに明るい未来はやってこないのだ。
(魚住新司)