Jリーグは終盤を迎え、優勝争いが面白くなってきた。同時に残留争いも熱を増している。第33節を終えた時点で、自動降格圏の18位以下にいるのがジュビロ磐田、コンサドーレ札幌、サガン鳥栖。この中で最も視線が注がれているのが、ペトロヴィッチ監督が今シーズン限りで退任する札幌だ。
札幌は開幕から6戦勝ちがなく、ガンバ大阪に勝利した後も6戦続けて勝ち点3を取れず。第4節から最下位を走り続けた。しかし、昨年王者のヴィッセル神戸と引き分け、浦和レッズに4-3で勝ってから、調子は上向きになっている。
この時、札幌に何が起きていたのか。エースの鈴木武蔵が鈴木啓太氏のYouTubeチャンネルで明らかにした。なぜ勝てなかったのかについて、
「悪い時のコンサで、僕個人的にもそうですけど、本当に悪い時期が続いて勝てる気がしなかった。絶対勝つって思いでやってるんですけど、また失点してまたチャンス決められなくて負けるんじゃないか、っていう思いはみんな、どこかしらにあったんじゃないか」
全てがうまくいかなかったというのだ。しかし、選手全員で練習から変えていこうと決意。球際を激しくいって、ハードな練習を重ねた。するとチームに変化が訪れる。鈴木が続けて説明する。
「今まで自分たちの悪い時間帯に耐えられなくて失点して、慌てて攻撃してカウンター食らって、っていう悪循環。何したらいいんだろう、っていう感じでやってた。今はビルドアップに自信持って、無理だったら割り切って相手の背後に蹴ったり、長いボールを使って攻撃している。それにプラスして、マンツーマンで守備してるんですけど、(以前は)自分たちに自信がなくて、本当にマンツーマンでいいのか、っていうのがみんなあった。だけど最近は、目の前の自分の相手に絶対負けないという思いで守備している。そこからうまくいき始めた」
浦和に勝ったことが自信につながり、チームはよくなっていった。とはいえ、札幌は現在19位で、残留できる17位の京都サンガFCとは勝ち点差が9もある。残留は厳しいように見えるが、エースは残留できると断言した。
「どんな状況でも自分たちのスタイルを崩さないというのが、今後の試合でもできればいいなって思います。今の自信を持ったコンサドーレのままでいけば、絶対残留できると僕は思ってます。降格圏で絶対終わりたくない、っていうのが僕の強い気持ち。ミシャさん(ペトロヴィッチ監督)の最後のシーズンでタイトルを狙ってたんですけど、ちょっと叶わない状況なんで、残留が不可能と世間から思われていた状況から、自分たちが残留するというストーリーを築いて、ミシャさんを送り出せたら最高」
ペトロヴィッチ監督のために、笑顔でシーズンを終えることができるのか。札幌の戦いから目が離せなくなる。
(鈴木誠)