来季は針のむしろか。そんな不安がにわかに増大しているのは、レッドソックスの吉田正尚である。
10月3日に米マサチューセッツの病院で右肩関節唇修復手術を受け、無事成功。メジャー2年目の今季は、右肩の痛みとの戦いながら108試合に出場したが、外野守備に就いたのはわずか1試合。残りは全てDHでの出場で、打率2割8分、10本塁打、56打点にとどまった。
2022年12月にポステイングシステムを利用し、5年総額9000万ドル(約136億円)という破格の条件でオリックスから移籍。1年目の昨季は140試合、うち右翼手として87試合に出場して打率2割8分9厘、15本塁打、72打点とまずまずの成績を残していた。今季は首脳陣の期待を裏切る形となったが、これからイバラの道が待ち受けているという。メジャーリーグを取材するスポーツライターは、現状を次のように説明する。
「レッドソックスは今季もポスト・シーズン争いからほど遠かったのですが、吉田に外野手としての居場所はありません。右翼には今季のオールスターでMVPに輝いたジャレン・デュランが定着。DHでしか仕えない選手に20億円を超す年俸では、あまりに費用対効果が悪い。チームとしては投手と右打者が補強ポイントです。若手の有望株を獲得できるなら、年俸の一部を負担しても放出したいでしょうね」
ただ、現状ではトレードは難しい。前出のスポーツライターが言うには、
「肩の状態がどこまで回復するのか、という問題があります。メジャー関係者の間では、吉田がトレード市場に出てきても単独で手を出すチームはない、との見方が有力です。他球団との大型トレードが発生し、そのうちのひとりとして潜り込ませる以外はないのでは」
今のままなら、来季は飼い殺しの可能性もあるというのだ。ただし、
「藤浪晋太郎と違って、吉田をマイナーでプレーさせるわけにはいかなでしょう。契約内容には、マイナー落ち拒否条項が盛り込まれているはずです。『代打要員、時々DH』としてプレーさせるしかない。厳しい現実しか待っていないといえます」(前出・スポーツライター)
WBCでは起死回生の本塁打を放つなど、勝負強さを発揮したマッチョマンが、不良債権にならないことを祈りたいが…。
(阿部勝彦)