「12人を非公認」「比例重複もなし」、裏金議員に対する石破総理の厳しい処遇により、震源地となった旧安倍派からは阿鼻叫喚の声が聞こえてくる。国民を欺く〝裏金みそぎ選挙〟の背後で火花を散らす石破VS安倍派の「12年遺恨」を穿つ!
「萩生田光一という政治家、何をやっても結果を出す。私にとってもまぶしい存在であります」
10月17日、JR八王子駅前ロータリーで、隣に立つ萩生田光一元政調会長(61)を誉めちぎったのは高市早苗前経済安保相(63)だった。
演説を遠目で見守る地元住民が吐き捨てる。
「昨日は安倍昭恵さんが応援に来てたんじゃろ。裏金問題で自民党から公認を得られず、無所属での立候補とか言うとるけど、どっから見ても自民党のまんまじゃんかね」
15日公示、27日投開票の衆院選は既に全国各地で熾烈な戦いが繰り広げられている。中でも最大の注目は八王子・東京24区だ。
八王子と言えば、安倍政権下では文科相など要職を務めた萩生田氏のおひざ元。が、裏金問題での不記載額はトップ3の2728万円。加えて旧統一協会との関係も、自民党総裁応接室で幹部と同席する写真がスクープされるなど、自民党の信頼を失墜させた最大の戦犯の1人だ。絶体絶命の危機だけに、立憲民主・野田佳彦代表(67)が選挙戦初日に「裏金を許してはいけない」と第一声を上げて追い落としにかかった最大の激戦区なのだ。
12日には市内の中心部で「裏金カルト議員はいらない」と銘打ったデモ活動が行われ、公示前から異様な雰囲気が漂っていた。
地元後援関係者が語る。
「13日には、萩生田氏の後援会にジャーナリストの櫻井よしこ(78)が応援に来た。生前の安倍元総理へのインタビューで次の総理の後継者を尋ねたところ間髪をいれずに『萩生田光一です』と語ったというエピソードを明かし、『万が一、萩生田さんが負けたら、日本国は終わり』と熱弁していた」
これには政治ジャーナリストの安積明子氏が、語気を強めて言う。
「たとえそうした安倍さんの『遺言』があったとしても、萩生田さんを判断するのは有権者です。そもそも安倍さんの一言で、萩生田さんの裏金問題が解消するはずがないし、裏金には反対だった安倍さんの思いとはまったく逆のことをした萩生田さんに、安倍さんはむしろ怒っていると思います」
もはや後がない背水の陣の萩生田陣営は、手持ちの駒を全投入で臨む総力戦を強いられている。
対するは、立憲民主の有田芳生氏(72)を筆頭に、国民民主、維新、参政党、無所属の新人の計5人。共闘なし、野党乱立の24区の情勢を政治部デスクが占う。
「党内でも実力者の萩生田さんですが、必ずしも選挙に強いわけではありません。実際、09年の自民党が野に下った政権交代の選挙では落選しています。今回公明党からは推薦も得ていませんが、それでも党利党略や地元の因縁などから、公明党が水面下で応援しているという話が漏れ伝わっています」
果たして最大の危機を退けられるか。正念場の戦いが続く。