今回の異様な選挙戦は、自民党内のパワーバランスに大地殻変動が起きたことに起因する。それまで国民の人気は高かったが、総裁選では敗退続き、非主流派として辛酸を舐め尽くしてきた男・石破茂総理(67)が、遂に総裁の座に就いたからだ。
「総理就任前に早くも解散を宣言、と思えば安倍晋三元総理が亡くなった直後に『国賊』発言をして問題となった、村上誠一郎氏(72)を総務相に入閣させた。さらには裏金議員の選挙では、党非公認、あるいは比例での重複を認めさせない厳しい処分を下した。まるで旧安倍派を狙い撃ちする決定に、党内でも『安倍派への意趣返しではないか』という批判の声が出ている」(政治部デスク)
これに対し、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が裏金問題の処遇について解説する。
「これにかこつけて安倍派議員を数多く落選させて、旧安倍派の一掃を図る、そんな見立てで語られていますが、私は石破さんの頭の中にはそういった発想はないと思います。情勢調査の中には、自民党だけで50議席を失うという調査もあります。それだけ裏金問題での世間の逆風は強いわけで、石破さんとしてはそういった世間の怒りを沈めて選挙に勝つためには何でもやる、と。そういった決定の結果だと思います」
安積氏も同様の意見だ。
「石破さんは当初は、裏金議員も『原則公認』としていましたが、それでは選挙で大負けするとわかり、小泉進次郎さん(43)が進言して非公認が決まりました。となると裏金議員は旧安倍派に多かったので、対象の議員の多くが旧安倍派になるのは必然的で、それをもって安倍派潰しという声が上がっていること自体、いかに自民党内での反省がないかを証明するようなものです」
石破VS旧安倍派の構図が取り沙汰されるのも、安倍元総理と石破総理の間には確執と怨念の長い歳月が流れているからだ。