NHK連続テレビ小説「おむすび」は、10月21日放送の第16回から4週目に突入。主人公・米田結(橋本環奈)の姉で伝説のカリスマギャルだった歩(仲里依紗)が本格登場したが、期待された「視聴率のカンフル剤」とはいかなかったようだ。
初回視聴率は16.8%と上々のスタートで、初週の平均視聴率は16.1%。前作「虎に翼」の初週平均16.2%と遜色ない数字を記録した。しかしこれは、評判の高かった前作を見ていた視聴者が今作にも期待して視聴したから、という側面がある。「おむすび」の真の評価は、以降の視聴率がどう推移するかにかかっていた。
その視聴率は2週目平均が14.7%へと下降すると、3週目平均は13.5%と、さらに下落。「虎に翼」が2週目以降も15%台から17%台をキープしたのとは、明らかに違う傾向を示している。テレビ誌記者が言う。
「巷間言われる通り、脚本に問題が多いのは確かでしょう。朝ドラ視聴者がギャルに興味を持っていないことを見抜けなかったのは大きい。NHKとしては従来の視聴者よりも若い層を取り込みたかったのでしょうが、若い層はそもそもテレビを見ませんからね。さらには主人公がギャルに勧誘されたり、あるいは書道部に入ったり、野球部員とのラブコメ要素が入ったりと、何をやりたいのか今ひとつ伝わってこない。結が姉を嫌う理由もわからないなど、戸惑った視聴者が次々と離脱していく流れを止められない状況です」
このため、視聴者からは「仲里依紗、早く!」と、仲の登場に期待する声が多かった。
フタを開けてみれば、第4週の視聴率は10月21日が13.2%と、第3週の金曜日18日の13.0%からやや持ち直したが、22日には12.7%に。最低記録である14日の12.6%に迫る落ち込みだった。23日の18回は、13.2%となっている。ドラマウォッチャーが分析する。
「仲の本格登場は確かにインパクトがあったのですが、歩がなぜ突然、糸島に戻ってきたのかがわからない。さらには歩を慕って米田家に集まった博多ギャル連合(ハギャレン)のメンバーに向かって『ギャルとかやめなよ、超ダサい』『ハギャレンてしぬほどハズい、とっとと潰しちゃいなよ』と暴言を連発した。ここで結が歩に食ってかかり、なぜ姉を嫌うのか、その一面は判明しますが、そもそも歩がなぜ伝説なのかがわからないのです。歩がギャルとしてどんな生き方をしていたのかが描かれていないので、2004年のギャルがなぜカリスマ扱いするのか、視聴者は納得していないでしょうね」
物語は第17回で1994年の神戸へと飛ぶと、歩と結が仲の良い姉妹だった頃が描かれるが、1994年と2004年を行ったり来たり。視聴者が「とっちらかってる印象で集中できない」と、脚本の構成に疑問を持つのも無理はないのだ。
「脚本の根本ノンジ氏はNHK『正直不動産』や日本テレビ系『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』などの脚本が好評でした。『おむすび』も期待されていましたが、残念ながら不評です。これはやはり、多忙すぎる橋本を無理やり主演に据えたことに問題があったのでは。橋本は舞台の海外公演など多忙で『おむすび』の撮影現場に不在だった期間が50日に及んだと報じられています。このため、脚本の構成に無理が出た感が否めない。その点で根本氏は苦労しているのでは」(前出・ドラマウォッチャー)
とはいえ、視聴者にはそんな裏事情は関係ない。目の前のストーリーが魅力的かどうかが問われるのだが、はたして仲演じる歩は今後、そんな視聴者の失望感を覆すだけの演技を見せられるのだろうか。
(石見剣)