今年のワールドシリーズは1981年以来となる東西の名門対決。ドジャースが3連勝し、ヤンキースは崖っぷちに追い込まれた。
第2戦の盗塁失敗で左肩を亜脱臼した大谷翔平だが、3戦目には出場。4戦以降も出場できるのかどうかは分からない。仮に大谷が出場できない状況になれば、ヤンキースが一気に巻き返してくる可能性はある。
しかし、ヤンキースが警戒していたのは、大谷のバットだけではなかった。第1戦の試合前のことだ。「陽動作戦」でも、ヤンキースは敗北を喫していたのである。
ヤンキースの主砲はシーズン58本塁打を放ったアーロン・ジャッジだが、ポストシーズンマッチは大不振だ。そのため、主に2番を打ってきたホアン・ソトに期待を寄せる声が拡大。そのソトの去就情報が、ワールドシリーズ前に報じられていた。
「ソトはこのポストシーズンマッチ中に26歳の誕生日を迎えた若手です。その活躍はジャッジにも引けを取りませんが、大型契約を結ぶことができずに昨年12月、パドレスからヤンキースにトレード移籍してきました」(現地ジャーナリスト)
当然ながら、ヤンキースは残留させる方向でいる。今季の契約は1年3100万ドル(約46億5000万円)」であり、その活躍に相応しい昇給額と長期契約を提示する予定でいる。ところがソトの代理人は、強気な交渉で知られるスコット・ボラス氏。残留交渉の長期化は必至だが、「ドジャースがソト強奪に乗り出す」と報じられたのだ。それも、ヤンキースの地元ニューヨーク・ポスト紙の人気記者が記名で執筆したもので、かつ自身のSNSでも伝えていた。
「この一報に、ヤンキース側は「ありえない』と否定していましたが…」(前出・現地ジャーナリスト)
この報道によれば、ソトの残留交渉は「10年6億ドル(約900億円)」クラスになるという。その資金源は「大谷」だ。昨年オフ、大谷は「10年7億ドル(約1061億円)」でドジャースと契約したが、その97%が後払いという異例の措置となった。「だから、払える」と同紙は主張しており、ヤンキースが否定しても、ファンは誰も信じない状況になっているそうだ。
ソト強奪の信憑性はともかく、故障してたとえバットで結果を出せなくても、大谷はヤンキース陣営を震わせているのだった。
(飯山満/スポーツライター)