空気が乾燥するこの季節、インフルエンザの流行期に入った。
インフルエンザといえば、頭痛やのどの痛み、せき、鼻水の症状に加えて、急な38度以上の高熱や関節痛、筋肉痛を引き起こすのが特徴だ。
しかし、最近では、高熱などの症状が出ずに、のどの痛みや鼻水だけの軽症例や、症状がほとんど出ない「無症候性感染」という症例も報告されている。
処方薬には、タミフルやリレンザといった抗インフルエンザウイルス薬が処方されることが多い。近頃は、ゾフルーザというエンドヌクレアーゼ阻害薬という新たな薬も承認されている。
予防には、やはりワクチンの接種だろう。かつてはA型2種とB型1種の「3価インフルエンザワクチン」を接種していたが、15年よりB型を1種追加した「4価インフルエンザワクチン」となり、より効果を高めている。この「4価インフルエンザワクチン」は、季節の異なる南半球など、世界各国で流行しているウイルス株のタイプを分析した上で、流行予測に基づいたワクチンが作られる。
ワクチンの効果については、抗体が約2週間で作られ、接種から1~2カ月後が最も効果の高い時期となる。そのため、流行のピークを迎える翌年の1月、2月を視野に入れた11月、12月の接種が望ましい。
受験を控えた家族などがいる場合などは、その予定から逆算してワクチン接種時期を決めるのもおすすめだ。
他の予防策としては、風邪対策と同じように、飛沫感染や接触感染の機会を極力減らすこと。外出時などのマスクの着用、正しい手洗い、部屋の温度と湿度の適切な調整などを徹底させることでかなりのリスクを軽減することができる。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。