新型コロナウイルスが猛威を振るっているが、季節外れのインフルエンザにも注意が必要だ。
インフルエンザは本来、冬に流行する感染症だが、近年は夏場にも感染者が増える傾向にある。19年には8月の集団感染の事例もあった。
実は、インフルエンザウイルスは高温になると感染力が弱まるだけで、夏に死滅するわけではない。熱帯・亜熱帯の地域では年間を通じて感染の事例もあり、環境上での流行の条件は必ずしも低温・乾燥ではないとも言われている。
発生原因には、海外からウイルスが持ち込まれたという説がある。新型コロナイウイルスの感染対策の出入国の基準の変更により、年間約3000万人を超える多くのインバウンド観光客が日本を訪れるようになり、ウイルスの持ち込みリスクが高くなったのだ。
インフルエンザの重症化を防ぐためのワクチン接種が開始されるのは例年10月。つまり夏場は、免疫を持つ人が少ないという環境下でもある。
他にも、温暖化や猛暑の影響で、日本も通年インフルエンザが流行しやすい亜熱帯の気候に近づいていることも考えられている。
症状は、高熱や喉の痛み、頭痛や関節痛、咳や鼻水。新型コロナウイルスと症状が似ているため問診で判断することが難しいので検査が必要となる。
発症から48時間以内であれば抗インフルエンザ薬を使用し、体内でのウイルス増殖を抑えることが可能だ。
感染予防は、手洗いやうがい、適切な換気や過度の人混みを避けるなど基本的な感染対策が重要。新型コロナウイルスの対策と合わせて予防を徹底しよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。