ダート競馬の祭典が、この週末から週明けにかけて、日米で行われる。アメリカのデルマー競馬場で行われるブリーダーズカップ(日本時間11月2日、3日)と、佐賀競馬場と門別競馬場で行われるJBC競走(11月4日)だ。
ブリーダーズカップには、日本馬は4つの2歳戦を含む11競走に、19頭が出走する予定だ。そのうち、BCクラシック(ダート2000メートル)、BCターフ(芝2400メートル)、BCマイル(芝1600メートル)、BCフィリー&メアターフ(芝2200メートル)の4競走は、日本で馬券が発売される。
最大の注目レースはデルマソトガケ、ウシュバテソーロ、フォーエバーヤングの3頭が出走する、1着賞金364万ドルのBCクラシックだ。昨年はデルマソトガケとウシュバテソーロがこのレースに出走したが、デルマソトガケは7番人気で2着、ウシュバテソーロは1番人気で5着だった。今年はケンタッキー・ダービーで微差の3着だったフォーエバーヤングも出走するので、盛り上がりは昨年以上だ。どの馬が勝っても日本馬初の制覇となり、その意味でも見逃せない。
ブックメーカーによる前予想では、1番人気は英国ダービー馬シティオブトロイで、それに続いて米国馬フィアースネス、フォーエバーヤングとなっている。ウシュバテソーロは前哨戦の日本テレビ杯で2着に敗れたのに加え、この中間に助手を振り落として放馬したこともあって、5番人気に。デルマソトガケにいたっては、最下位人気だ。
ただ、これはあくまでもあちらでの予想であり、日本ではもっと日本馬の馬券が売れるだろう。馬券的妙味があるのはやはり外国馬で、個人的にはケンタッキー・ダービーで2着だった米国馬シエラレオーネに注目している。ここでフォーエバーヤングに先着した実績は見逃せない。
前哨戦のトラヴァーズSではフィアースネスの3着となったが、1番人気はこの馬だった。これまで〈3・3・2・0〉と全て馬券に絡んでいるように、しぶとく脚を伸ばして堅実無比なのが取柄だ。巻き返しに期待したい。
JBC競走は、華やかさやではブリーダーズカップに見劣ってしまうが、中央と地方のトップクラスのダート馬が4つのレースに出てくるので楽しみだ。
注目レースは1着賞金1億円のJBCクラシック(JpnⅠ、佐賀・ダート2000メートル)だ。過去23回で地方馬が勝利したのは3年前のミューチャリー1頭だけで、JRA勢が圧倒している。今年もメンバーを見る限り、JRA馬が上位を独占しそうだ。
筆者が期待しているのは、地元出身の川田将雅が騎乗する、ウィルソンテソーロ。東京大賞典2着、帝王賞2着と大レース制覇はかなっていないが、GⅠ級の実力の持ち主であることは確か。中間はウッドと坂路を併用して追い切り、デキの方も万全だ。今度こそ、決めてみせる。
(兜志郎/競馬ライター)