GⅠシーズンの土曜日重賞は、レースとしては見どころたっぷりだが、馬券は意外と手を出しづらい。なぜなら、負ければ翌日のGⅠ資金が減り、背水の陣となってしまうからだ。
しかし、今週のGⅠ・菊花賞の前日、10月19日に東京競馬場で行われるマイルGⅡの富士ステークスは、軍資金をモリッと増やせて「今年は無視できない」と、関東在住の馬券師ライターT氏は語る。
過去5年の富士Sの3連単平均配当は、約4万円。資金をモリッと増やせるほどの大荒れはしていないが、荒れる可能性が高い理由として、
「今年の富士Sは、過去にないほどツッコミどころが多いメンバー構成になっている」(T氏)
そう語るT氏が、踏み込んで解説する。
「富士Sはこの時期の貴重なマイル重賞で、新陳代謝が激しい。パッと調べたら一目瞭然、3歳馬と4歳馬が圧倒的に強いレースです。この10年で5歳以上が勝ったのは1回だけ。この後、本番のマイルCSや香港マイルがあることで、すでに賞金が足りている5歳や6歳のベテランが叩き台にしている証拠です。ところが今年の人気上位であるソウルラッシュ、セリフォス、レッドモンレーヴ、ジュンブロッサム…これら全馬が5歳以上です。ソウルラッシュはこれまで連対すらまともにない6歳馬。この人気上位だけで決まるなんてありない、と考えられませんか」
今年の同コースのGⅠ・安田記念は、それぞれ5着、3着のセリフォスとソウルラッシュは一昨年の富士Sでワンツーフィニッシュ。同じく安田記念からの直行組レッドレモンレーヴは昨年の2着と、どの馬もコースを苦手としてないのだが…。T氏が続ける。
「数の少ないマイル重賞だけに、2度目、3度目と出走してくる馬がいる。セリフォス、ソウルラッシュ、レッドモンレーヴはまさにそれ。ここで問題になるのが、先ほど言った新陳代謝の激しさです。過去10年で馬券になった馬(3着以内に入った馬)で、翌年以降にこのレースに再挑戦したのは11頭。ところが連続で馬券になったのは2015年1着、2016年3着のダノンプラチナ、2016年と2017年に連続2着のイスラボニータの2頭のみ。順位を下げてないのはイスラボニータ1頭です。他の馬はものの見事に着外に消えている。つまりコースの得手不得手はほぼ無関係。賞金獲得のために仕上げてきた、若い馬の勢いが勝るレースといっていい。今回の上位人気馬の大半は、馬券から消えるでしょう」
実際に上位人気の大半が消えてしまえば、必然的に荒れ馬券は必至。そうなると、狙い馬は計6頭いる3、4歳馬から選ぶことになるが、
「東京マイルは他場のマイル戦よりスタミナが必要で、できれば1800メートルを勝てるぐらいのポテンシャルを持っていてほしい。そして特に強いのが4歳と考えたら、新潟の関越S(1800メートル)をレコードタイムで勝ったクルゼイロドスル、東京の1800メートルを連勝中のジェイパームスでいけるはず。この2頭をアタマ(1着)において5歳、6歳の老害人気馬を3着の押さえ程度でドッジする(うまく避ける)。そうなれば人気が逆転した入線順位で、たとえ人気馬が1頭ぐらい3着に滑り込んでも、おのずと高配当になります。上位人気を信用せず、少ない資金で勝てる3連単を組み立てるべきでしょう」(T氏)
3歳クラシック菊花賞の前日は、若い馬たちの勢いでモリッと懐を厚くしようではないか。
(宮村仁)