函館2歳Sを勝ったのは東京デビューのサトノカルナバル。函館、札幌以外でデビューした馬がこの重賞を勝ったのは史上初で、競走馬の輸送事情の格段の進化を感じずにはいられなかった。また、堀調教師は1400メートルで勝ち上がったサトノカルナバルに、耳慣れないDNA検索まで行って、「1200メートルに適性がある」と確信しての駒運び。さまざま、時代の変化を痛感する結果だった。
札幌2歳Sは、夏競馬のファイナル。距離がクラシックにも結びつきそうな1800メートルということで、こちらは以前から北海道以外でデビューした馬たちが狙いを定めてきていた。今回もデビュー地はさまざま。札幌が一番多いのは当然だが、函館、東京、福島、小倉と、バラエティーに富んでいる。エアコン完備の快適な馬運車が、輸送ストレスをほぼゼロとしているからに違いない。
ほとんどが前走1着の馬ばかりなので、比較の対象として勝ち時計が必然的に重視されることになる。
キングスコールは札幌の1800メートルを1分47秒8。後続に3馬身の差をつける圧勝だっただけに、1番人気に支持されるのだろう。同距離のコスモス賞を1秒1もちぎって勝ったアスクシュタインでさえ1分49秒2なのだから、時計の比較だけで言えば、キングスコールに逆らう手はないという気がしてくる。
しかし、時計だけではない強い馬の雰囲気を感じさせてくれた馬がいる。ファイアンクランツだ。1分50秒5は、キングスコールと比較してしまうとまったく強気になれないが、追い出されての反応の鋭さが印象的で、2戦目で時計を大きく詰めてくる期待は高い。離されてしまうようなら、キングスコールの完成度の高さにひとまずは降参するしかない。
マテンロウサンも味な勝ち方をみせた。父は米国で最も人気が高いイントゥミスチーフで、性能の違いを見せつけるシーンもありそうだ。
2戦2勝のアスクシュタインも、もちろん争覇圏内。福島の勝ち方が強いインパクトだったホウオウガイア、時計は見劣るものの奥がありそうなアルマヴェローチェあたりも警戒は解けない。