記者会見も開かず、突然の引退で競馬界と競馬ファンを驚かせた藤田菜七子元騎手が、ようやく「肉声」を発した。11月12日に、およそ3カ月ぶりにインスタグラムを更新すると、次のように謝罪の弁を展開したのである。
〈この度は私の行動によりファンの皆様、ならびに多くの競馬関係者の方々に多大なるご迷惑をお掛け致しました事を心よりお詫び申し上げます〉
そして10月11日付で引退したことを、改めて報告。今後については何も決まっていないとした上で、
〈許されるならば、今後の競馬界の益々の発展に、私なりに尽力させていただきたいと考えております〉
引退の原因は、競馬の公正の確保と八百長防止のために禁止されている、スマホなどの通信機器を、調整ルームへ持ち込み、男性と通信していたことにある。
しかも後輩騎手が同様の不祥事で騎乗停止の処分を受ける中、彼女自身は「スマホの持ち込みはしたが動画の閲覧のみで、他者との通信はしていない」と嘘の報告をして処分を免れていた。厩舎関係者が言う。
「これは悪質だったと言わざるをえません。しかも裁定委員が開かれ、正式な処分が決まるのを待ち、処分を受けた上で復帰することもできたはずなのに、逃げるように引退してしまった。若気の至りとも言えますが、一連の行動はあまりに身勝手。これで競馬界のために活動したいと言われても、おそらくJRAや競馬界はなかなか認めないのでは。騎手として抜群の人気を誇っていただけに、騎手としても社会人としても未熟な部分が目立ってしまったのは残念でした。今後はJRA騎手に対する教育のあり方を見直すべきでしょうね」
競馬番組でのコメンテーターとしての活動も、現時点では極めて困難。彼女がどんな形で「競馬界の発展に尽力」するのか、見ものではあるが…。
(石見剣)