11月26日から「青春18きっぷ」の冬季用が発売される。JRグループは販売枚数を明らかにしていないが、それでも鉄道ファンにとっては実に気になるもの。というのも、冬季用からサービス内容が大きく変更されるからだ。
最大の変更点は利用日で、期間内の好きな5日間から、連続した5日間となった。新たに3日用も発売されるが、これも連続した3日間しか利用できない。同一ルートであれば複数人で1枚のきっぷを利用できたが、1人だけに変更された。
どちらも「改悪」とされるが、唯一よくなったのは、自動改札を利用できるようになったこと。鉄道ファンの間では、
「5日間連続で鈍行を乗り継ぐような旅はしたくない」
「どう使ったらいいのか理解できない」
との不満が充満しており、販売枚数は少なくなると予想されているのだ。
「青春18きっぷ」はこれまでに何度も販売休止が囁かれる危機的状況にあり、今回の売り上げ減が休止のきっかけになるかもしれない。
しかし「青春18きっぷ」を取り巻く環境は、利用条件変更よりもはるかに大問題だと、鉄道ライターは指摘するのだ。
「これまでは夜行の快速列車『ムーンライト』とセットで利用されてきました。夜に東京を発ち、翌朝には遠く離れた場所に到着するので、とても便利でした。しかし『ムーンライトながら』を最後に廃止され、代わりの夜行快速列車はありません。これでは『青春18きっぷ』を使って、遠くまで旅をすることは難しい。サービス内容が変更されることより、この状況の方がはるかに問題です」
夜行快速列車が復活する可能性はほぼない。1982年に国鉄が「青春18のびのびきっぷ」の名前で発売を始めた「青春18きっぷ」は、すでに役割を終えているのかもしれない。
(海野久泰)