それは驚きのスキャンダル記事だった。サッカー日本代表選手の不倫劇。1999年3月に飛び出した「松田聖子の元交際相手の元妻」との不倫関係を報じたものだ。代表選手の実名は挙げていなかったが、子供までもうけたのだという。
何人かの関係者に聞いてみると、あっさり該当する選手の名前がわかった。日本代表のレギュラークラスの選手だった。そこでチームの社長にあたってみると、週刊誌報道が事実であることを認めた。その上で、
「すでに子供は認知していて話し合いは終了し、問題は解決しているので、なんとか穏便な対応を」
そう言って、頭を下げられたのである。選手は子供を認知し、養育費などを支払うといの話し合いが行われ、両者の問題は解決したという。
筆者も解決した問題をほじくり返すのは気乗りしなかったため、記事にすることはなかった。社長との話を終えた後、練習グラウンドに出ていくと、問題の選手がいた。目を合わせると「どうも…」と言って、なんとも気まずそうな表情をしていたのが印象に残っている。
それにしても、驚くべきは松田聖子だ。この不倫騒動で、聖子は直接的には全く無関係である。にもかかわらず、松田聖子が主語になってしまう…。改めて、その「威力」を思い知らされたのだった。
(升田幸一)