権威ある大会を汚したのは、韓国のサッカークラブだった。
11月27日に「AFCアジアチャンピオンズリーグエリート」(ACLE)のリーグステージ第5節が行われ、横浜F・マリノスがホームで浦項スティーラーズ(韓国)と対戦した。
前後半で1点ずつ取った横浜が2-0で完封勝利したわけだが、問題は試合内容ではなかった。サッカーライターが憮然とした表情で話す。
「浦項は3日後に国内のFAカップ決勝戦があるという理由で、主力を休ませたかったのでしょう。ごっそりと2軍を日本に連れてきたんです。ワントップに起用された18歳のキム・ミョンジュンをはじめ、リーグ戦に出場経験の少ない若手だらけでした」
過密日程なのは、どのクラブとて同じだ。横浜も同じく3日後にJリーグの公式戦を控えているが、FWアンデルソン・ロペスを中心とした強力な外国人3トップを揃えるガチメンバーで試合に挑んでいる。
ACLEといえば、2023-2024年大会までは「AFCチャンピオンズリーグ」(ACL)と称していたが、今大会から新方式を導入したことにともない「ACLE」へと名称変更。アジアのクラブチームにとっては、最も権威のある大会であることに変わりはない。前出のサッカーライターの怒りは、なかなか鎮まらない。
「国内のカップ戦で、リーグ戦に出ていない選手や若手を起用するのはどの国でもよくある話。しかし、今回のようにアジアの頂点を決める大会で、2軍メンバーで試合をするのは前代未聞ですね。ヨーロッパの『UEFAチャンピオンズリーグ』で、控えメンバーで試合をするなんて聞いたことがありません。試合後に浦項のパク・テハ監督は『セカンドチームにはいい経験になった』と呑気に話していました。ACLEを軽視しているとしか思えない暴言です」
今節の結果により、グループEASTは横浜が3位(全12チーム)に浮上。出場する他の日本勢はヴィッセル神戸が首位、川崎フロンターレは4位と好調をキープしている。
一方、韓国のクラブは光州FCが2位と健闘するも、浦項は10位、今季のKリーグ王者の蔚山HDは5戦全敗で最下位に沈んでいる。
各リーグの上位8クラブがノックアウトステージへと進出するが、浦項のように大会を軽視する姿勢が、韓国勢の衰退を招いているのだろう。もう少し見極める必要はありそうだが…。
(風吹啓太)