昨季のACL王者・浦和レッズが、今季のACLでは早くも決勝トーナメント進出に黄色信号が灯った。
ACLグループJの第3節、浦和対浦項スティーラーズの試合が埼玉スタジアムで行われ、浦和は0-2で完敗(10月24日)。現代サッカーでは、運動量、プレス、ボール際の激しさ、攻守の切り替えの早さが求められる。いくらお互いのレベルが拮抗していても、この基本的な部分で相手を上回っていないと戦えない。それを象徴するような試合だった。
開幕2連勝で首位に立つ浦項からすれば、アウェーとなるこの試合は引き分けで勝ち点1でもいいという考えがあったはず。そんな中で浦項の戦略は浦和のサッカーをやらせないことだった。
そのために中盤でのボールの奪い合いで激しいプレスをかけ、フィジカル勝負のコンタクトプレーでも浦和を上回っていた。現にデュエルやコンタクトプレーで倒れているのは浦和の選手ばかり。その勢いに押され、浦和の選手は寄せられるとボールロスをする。前半はその連続だった。
攻撃面でも浦項は徹底していた。ボールを奪ってからのカウンターは鋭く、2点とも190㎝の長身FWゼカの裏に走り込んだ選手が決めている。ゼカが浦和の選手を引き付けて、その裏で勝負していた。
浦和の良さを消して、カウンターで勝負。浦項からいえばプラン通りに試合を進めることができたのではないか。西川のファインセーブがなければ4点ぐらい取っていてもおかしくなかった。
浦和も後半から攻撃的な選手を次々と投入して反撃しようとしたが、決定機らしい場面も作れなかった。サッカーの本質である1対1の局面での戦いに負けていては試合にならない。試合終了と同時に、浦和の選手は膝に手をつき、何もできなかったという悔しさをにじませた。一方の浦項選手たちはピッチに倒れ込んだ。それだけ浦和相手に力を出し切ったということだ。
浦和はこれで1勝1敗1分けで勝ち点4。首位の浦項に勝ち点差5をつけられた。次節は11月8日、アウェーでの浦項戦。ここで負ければ、決勝トーナメント進出の可能性は極めて厳しくなる。しかも浦和は11月4日にルヴァンカップ決勝もあり、日程的には厳しい。
浦和が短期間でチームをどう立て直すのか。スコルジャ監督の手腕にかかっている。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。