今年の競馬の出来事で真っ先に挙がるのは、中央馬と地方馬による「ダート3冠」が始まったことだろう。レースが軌道に乗るのは数年先だとみられているが、とにもかくにも第一歩を歩み始めた。
さらに、フォーエバーヤングがダート競馬の本場アメリカでケンタッキーダービーやブリダーズカップクラシックに出走し、ともに3着と善戦。ダート競馬への関心が高まることになった。
この流れを途切らせないためにも、ダートレースをもっとハイレベルなものにしていく必要がある。しかし残念ながら、JRAでは芝のレースがメインであり、ダートはサブ的な扱い。その証拠に、ダートGⅠはフェブラリーS(東京・1600メートル)とチャンピオンズC(中京・1800メートル)の2つだけだ。競馬発祥の地イギリスを模範としてきたため、致し方ない面はあるが、ダート番組の充実を願ってやまない。
さて、今週のチャンピオンズCだが、5戦5勝の大器ヤマニンウルスが除外となって、楽しみがひとつ減った。それでも多士多彩なメンバー揃いなので、面白いレースになりそうだ。
前評判では南部杯で1着、2着となったレモンポップとペプチドナイルの2頭が本命視されるが、はたしてどうか。すんなりいくのか。答えは「否」だ。
レモンポップは昨年の覇者だが、スタートを決めて簡単に自分のペースに持ち込めたのが大きかった。今年は徹底先行のミトノオーがいるため、楽な競馬は望めそうにない。2頭が競り合うことはないだろうが、スピードが身上の馬だけに、乗り方が難しくなる。
2走前のさきたま杯(浦和)のように、2番手から早めに先頭に立って押し切るレースが思い浮かぶが、それでは直線が長い上に坂もある中京ではもたないだろう。坂井瑠星はどのように乗るのだろうか。
ペプチドナイルはといえば、前で運べてしまいも確か。信頼度は高い。前週の坂路での追い切りで4F51秒2~1F12秒0を楽にマークしたように、調子は絶好。1800メートルでオープン勝ちがあるので、距離の心配はいらない。スタートさえ決めれば、上位争い必至だろう。軸にするなら、この馬だ。
このレースはリピーターが好走する傾向にあるため、昨年の2着馬ウィルソンテソーロと3着馬ドゥラエレーデは当然、外せない。とりわけ川田と相性のいいウィルソンテソーロを有力視したい。
もう1頭挙げるならば、近走の内容が素晴らしい3歳馬サンライズジパングだろう。
(兜志郎/競馬ライター)