「人気をあざ笑うかのように激走する馬を見極めるレース。それがチャンピオンズカップです」
この週末、師走最初のGⅠレース、中京競馬場のダート1800メートルで行われる「チャンピオンズカップ」について、馬券師ライターのT氏はそう言った。
昨年は3連単配当が192万円をつける大荒れとなったが、それを除いても、以前の過去9年で3連単平均配当が約11万円という「中穴レース」だけに、馬券戦略は簡単ではない。
だがチャンピオンズCには、過去のデータから絶対に逆らえない馬が必ずいるとして、T氏は続ける。
「ここへのローテーションです。これはハッキリと地方競馬場の持ち回り制で行うJBCクラシック、もしくは盛岡の南部杯。このどちらから来る実力馬は、昨年1着のレモンポップのように、確実に1~2頭は人気で、しかも馬券になる。これは逆らってはいけないところ」
人気馬を消すことを信条としているT氏らしからぬ見解だが、
「レースによっては意味がない」
と冷静な物言いである。
ならば今年もその2つのレースから本命を選べばいいということか。JBCクラシックからは、予想オッズ2番人気のウィルソンテソーロ、南部杯からは昨年の覇者で1番人気確実なレモンポップ、穴人気のペプチドナイル、ミックファイアが参戦している。
「いや、その2レースから来る人気馬は最終的に買っておけ、というだけ。10万円超えの3連単を的中させるには、他のローテから来る穴馬を見つけなければならない。それさえわかれば、チャンピオンズCの馬券戦略が一気に簡略化されますよ」(T氏)
つまり2021年のアナザートゥルース(14番人気)、2022年のハピ(6番人気)、2023年のドゥラエレーデ(9番人気)といった「主要2レース以外から来る激走馬」を見つけることが最重要というわけだ。
残り12頭からの選別はかなり苦労しそうだが、実はこれにも簡単な共通項があると、T氏は言うのだ。
「前走、同じ距離の『みやこS』で結果を出せなかった馬。これらが人気を落として、左回りの中京で一変する。ここ10年でも『みやこS』で結果を出せなかった馬が5頭も、6番人気以下で穴をあけています。そうなると、全く人気のないドゥラエレーデ(昨年3着)、そしてミトノオーは絶対に買っておくべき。どちらも1800以上のダート重賞で1着、2着がありますし、彼らのような穴馬が馬券になることで、3連単平均配当が上がっている」
ではT氏の本命は、この2頭のどちらか…と思いきや、もうひとつ、踏み込んだ答えが返ってきた。
「昨年3着で100万馬券の片棒を担いだドゥラエレーデは、なぜ人気がなかったか。それは2走続けて芝のレースを使っていたから。ですが、その前にはダート重賞『エルムS』で2着、さらにその前はドバイのUAEダービー(ダート1900メートル)で5着と大健闘した。ダート適性は確実にあったわけです。そういう意味で、今年はぜひ本命にしたい馬が出ています。ダートは1戦のみで2着。前走で芝GⅠの『安田記念』を使っていたガイアフォースですよ。母父クロフネで、左回りのダート1800メートルはドンピシャですね」
なんT氏は、大外8枠16番に入ったダート2戦目の伏兵に、白羽の矢を立てたのだ。ネットサイトの事前予想では5~7番人気と中穴扱いだが、このガイアフォースを中心に、みやこSから一変する大穴馬を相手とし、そして王道2レースから来るレモンポップ、ウィルソンテソーロあたりを加えれば、
「見事に3連単10万馬券の完成です」
とT氏は鼻息を荒くする。
馬券師のローテ戦略をヒントに買い目を絞り、ひと足先に「冬のボーナス」をガッポリとゲットしたいところだ。
(宮村仁)