「複数年より単年のメリットの方がいい」
阪神・近本光司の選択はこうだった。12月10日に兵庫県西宮市の球団事務所内で契約更改に臨むと、球団から提示された複数年契約を辞退し、5000万円増の3億7000万円で1年契約を結んだのだ。こうしたケースでは、近い将来のFA権行使を視野に入れていることが想定され、それが近本にとっての「メリット」だったのだろう。事実、契約更改後の会見では、
「僕も来年、その立場になるかもしれない。そういうことも踏まえて、いろいろな話を聞いていました」
と明かしている。これは大山悠輔が昨年、単年契約を結んで、今オフのFA宣言に至ったことを指している。
順調なら来季、FA権を取得するが、仮にオフに行使となれば、大山と同等かそれ以上の巨額争奪戦が勃発することは確実だ。来季31歳ながら、入団から6年連続でタイトルを獲得(盗塁、最多安打)している。守備でもゴールデングラブ賞を4年連続で獲得。走攻守すべてで要となる選手であり、もし流出となれば、阪神のダメージは計り知れない。
淡路島出身であり、在京志向のある大山ほど悩まずに残留してくれるのでは…と楽観視する向きもあるが、
「メンタル的には、大山よりクールなタイプ。ファン感謝祭での熱い声援で残留を決めた大山のようにはいかないのでは」(スポーツ紙デスク)
来オフまでの1年間、球団とファンは不安とモヤモヤを抱えることになる。
(石見剣)