これは「即断」の可能性も出てきた。メジャーリーグ移籍を目指すロッテ・佐々木朗希の代理人ジョエル・ウルフ氏が、メディアの要請に応じて「今後の交渉プログラム」を語った。
20球団以上からオファーがあったこと、そして代理人の私見として「佐々木自身がメディア嫌いで、大都市球団は適さないのでは」と語ったものだが、ここにもうひとつ、別の重要案件が絡んできた。
「ウルフ氏のクライアントであるカブス・鈴木誠也の去就です。鈴木は2年連続20本塁打をマークするなど順調ですが、トレード要員として名前が挙がってきました。若手の台頭で、今季後半はDHでの出場が増えています」(現地記者)
ウルフ氏の会見は40分程度だったが、後半20分は鈴木に関する質問で占められた。鈴木はカブスと契約する際、「トレード拒否条項」を勝ち取っている。カブスがトレードの話を進めるには鈴木側の承諾が必要だが、ウルフ氏は会見終盤に、
「こちらが断われないようなシナリオが出てくるかもしれない」
とも話している。
「カブスは若手の成長で、外野手が飽和状態。DHと一塁で試合に出ていたベリンジャーも出場機会を減らしており、このベリンジャーか鈴木のいずれかを放出すると予想されています」(前出・現地記者)
鈴木ではなく、ベリンジャー放出を予想する声が大きいようだが、鈴木はDHでのレギュラー出場を臨んでいない。また、鈴木を放出した方が「若い好選手を獲れる」との見方がなされている。
「鈴木自身、気持ちの整理がつくかどうかが問題でしょう。住環境に重点を置いてカブス入りを決めたので、DHではなく外野手での出場が約束される球団が現れたとしても、そこからまた家族での話し合いになる。時間がかかりそうです」(前出・現地記者)
佐々木と鈴木の双方で交渉が長期化すれば、代理人は大変だろう。今回の代理人会見で、佐々木の大都市球団NGという意向が明らかにされた。その意向通りに交渉が進められるとすれば、話し合いのテーブルにつく球団数はかなり限られてくる。
佐々木の行く先は即断、正式調印だけが25歳以下の海外選手に適応される国際プールのルールのため、来年1月15日以降になる。そんなシナリオが見えてきた。
(飯山満/スポーツライター)