鉄道会社が主催する車両撮影会が次々と開かれている。JR東日本だけでも幕張車両センターでの255系ナイター撮影会、ぐんま車両センターでのお召指定機共演撮影会、田端統括センターでの夜間電気機関車見学会、甲府駅での夜間撮影会が年末に行われる。私鉄も含めればその数はさらに増え、日本中で毎週末のように開催されている状況だ。
撮影会が増えたのは、ここ数年のこと。なぜそんなに増えたのか、鉄道ライターが解説する。
「撮り鉄は車で撮影地に行き、乗車せずに写真だけ撮って帰ってしまうので、鉄道会社にお金を落としません。それなのに騒ぎは起こす、やっかいな存在でした。しかし撮影会であれば、撮り鉄からお金を取ることができます。鉄道会社がそれに気付いてから、撮影会は増えました。以前、よく撮り鉄同士で『線路脇の土地を撮影のために有料で開放すればいいのに』という話が出ましたが、それがほぼ現実になりました」
撮影会は安いもので1万円で、平均は5万円前後。10万円を超える撮影会も珍しくない。過去にはオークション形式で販売され、81万円になったこともある。それでも多くが販売と同時に完売する。
「鉄道会社は笑いが止まらないでしょうね。実際に運行させるのはお金がかかりますが、撮影会なら車両センター内で並べるだけで安くできます。路線を走ることができない引退した車両を使うことも可能で、その場合は料金を高く設定できます。お金がかかるので参加するのは年配の人が多く、マナーがしっかりしているため、問題が起こることは少ない。鉄道会社にしてみれば、臨時列車の運行はやめて撮影会だけやりたい、というのが本音でしょう」(前出・鉄道ライター)
まさに「撮り鉄ホイホイ」の様相。彼らから金を搾り取ろうと、かつてない撮影会ラッシュがやってくる。
(海野久泰)