まさかの「九里亜蓮オリックス移籍」には驚いた。広島の鈴木球団部長は久里から直接会って報告を受けたといい、「ビックリした。本人の権利だから、希望があるのならそれはそれで仕方ない」と語っている。
一方のオリックスはというと、2023年のオールスターゲーム第2戦で対戦し、マウンドで九里とハグのパフォーマンスでスタンドを沸かせた杉本裕太郎は、自身のインスタグラムのストーリーズで「ようこそ同級生」とメッセージ。当時の写真を掲載しつつ「この時オリックスこいよって耳打ちしといてよかったー。(嘘)」と冗談めかし、ファンをなごませている。
貴重な先発の柱を失うのは広島にとって痛手だが、同一リーグでなかったのはせめてもの救いか。もっとも、ファンの関心はすでに「人的補償」に向いているようで、早くもオリックスのプロテクトリストの予想が始まっている。
広島は二遊間が厚いことや、矢崎拓哉を現役ドラフトで放出したことからもわかるように、30歳前後の中継ぎ投手は補強ポイントではない。となると九里の穴を埋める先発投手か、外野手が候補になるのではないか。
今のところ、プロテクトを外れる投手は13~14人とみられており、角度のある球を投げる育成出身左腕の佐藤一磨や、日本ハムからオリックスに移籍し、今ひとつ伸び悩んでいる吉田輝星らが有力視される。
そして実はここに、意外な人物の名前が挙がっている。昨年、日本選手として史上4人目となる日米通算250セーブを達成した大ベテランの平野佳寿だ。
今年40歳という年齢を考えれば、平野がプロテクトを外れる可能性は高い。ストレートの平均は140キロちょっとだが、セ・リーグであればまだまだ通用するだろう。
広島は丸佳浩が巨人に移籍した際の人的補償時に、松田元オーナーが直接、巨人の球団社長に電話をかけて「阿部とかベテランを外していないでしょうね」と念押しした過去がある。これは一見、「高年俸のベテラン勢でも獲る」というメッセージにもとれるが、ベテランをプロテクトさせて、マークが薄くなる若手を狙う高度な作戦だと言われている。
結局、広島は首位打者の経験があるベテランの長野久義を指名し、野球ファンを驚かせた。もしオリックスが平野をプロテクトから外したら、長野パターン再び…となるかもしれない。
(ケン高田)