今年のFA戦線は、いよいよ終盤に近づいてきた。残るはレッドソックス傘下3AからFAとなった上沢直之だが、ここにきてソフトバンクが4年総額10億円の好条件を提示していたことがわかった。上沢には古巣の日本ハムもオファーを出している。
一方でいまだ去就が不透明なのは、楽天の田中将大だ。すでに多くのメディアが各球団に当たりをつけているが、帰ってくる答えはどこも消極的。12月11日には中日の井上一樹監督が、記者から田中獲得の可能性について問われて「欲しいですよ。欲しいです」としつつも、「あえて加入させなくていいかなと。0%とはいえないが、僕は消極的」と改めて否定した。
ここでにわかにクローズアップされるのが、ソフトバンク・王貞治球団会長の言葉だ。
「なんとか3勝は乗り越えてほしい。誰がなんと言おうが、突破してほしい」
12月12日に静岡県三島市の「グランフィールズカントリークラブ」で開催された名球会の総会に出席した王会長の口から、田中へのエールが飛び出したのだ。ぜひあと3勝して、日米通算200勝を達成してほしい、と。
ソフトバンクはすでに三笠杉彦GMが「状況からすると、獲得の対象になる可能性は高くないかなと思います」と、田中の獲得には消極的な姿勢を見せているが、王会長の鶴の一声で翻る可能性がでてきたのだ。
もしオファー中の上沢が入団することになれば、有原航平に続いて日本ハムのアメリカ帰り選手を獲得することになり、批判に見舞われる確率は高くなる。上沢が古巣に恩義を感じソフトバンクからのオファーを断れば、田中入団の可能性がより現実味を帯びてくるのだ。
石川柊太がロッテにFA移籍し、先発陣の一角が空くソフトバンク。上沢を獲得して余計な顰蹙を買うよりも、田中の救世主となった方が、ファンは納得するのではなかろうか。
(ケン高田)