元首相らと寿司屋で懇談会をしたことから「スシロー」と呼ばれる政治評論家の田﨑史郎氏は、9月の自民党総裁選では小泉進次郎氏を推していたが、最近は石破茂首相をほめる場面が増えている。先日もBSフジテレビの看板番組「プライムニュース」に出演した際に、国会での石破首相の答弁について、
「石破さんは自分の言葉で答えているんですよ」
と持ち上げてみせた。
田﨑氏は12月13日夜の同番組で、国民民主党の玉木雄一郎代表(3カ月の役職停止中)とともに出演した。玉木氏は石破首相の答弁を、次のように論評。
「得意なところはノー原稿で、ネバネバ言っているんです。しつこい答弁ですが、少数与党だと割り切っている。心底、謙虚にやらないといけないと思っているから、うまくいっているような気がした。侮っちゃだめ」
これに呼応する形で、田﨑氏が言う。
「秘書官に聞いても、いろんなデータを渡されて、それを全部、自分の頭の中に叩き込んで紙を見ないで話している。それが石破さんの強さなんですよ」
田﨑氏は時の首相に近づき、懇談したり携帯電話で直接話せる関係を築いて、番組や講演で披露する手法を続けてきた。石破首相に対してはどのようなアプローチをするのか興味を持っていたが、答弁能力に着目し、それをほめることにしたようだ。
もっとも、ほめるだけでは気まずいのか、
「石破さんの苦手とすることは、紙を読むことなんです」
とも言う。田﨑氏の解説でよくわかったのは、外遊では紙を読むだけなので退屈になり、他の首脳と交流せずスマホをいじっていて批判された石破首相が、岸田文雄前首相をはじめ歴代首相が苦痛とした国会答弁では俄然、元気になる…という理由だ。
もっとも、首相の役割として議論は大切なのだが、「決断」するのはもっと大切だ。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)