自民党の青山繁晴参院議員(比例代表)が、自民党・大阪府連の会長に選出される。府連に所属していなかった国会議員が会長に選出されるのは、異例のことだ。
府連が決めたこの人事に、強い不快感を示した人物がいる。石破茂首相(党総裁)である。側近を通じて再考するよう促したが、府連は12月22日の府連大会で正式決定する見通しだ。
自民党は10月の衆院選で、府内19小選挙区のうち15小選挙区で候補を擁立したが、日本維新の会の候補に全敗した。前衆院議員の谷川とむ会長も落選したため、後任会長の人選を急いでいた。
これまで府連会長は府選出の国会議員から選ぶのが慣例だったが、府連所属の国会議員は比例代表で復活当選した島田智明衆院議員と、それぞれ当選2回の太田房江参院議員、松川るい参院議員の3人だけとなった。
府連関係者によると、太田氏と松川氏に対しては、すすんで会長に選ぼうという雰囲気はなかったという。
「落選議員にとっては、参院大阪選挙区は4人のうち1人に入ればよく、衆院小選挙区よりも戦いやすい。衆院からの転出を秘かに狙っている人は少なくない。その際、太田氏や松川氏が会長では転出の可能性が小さくなるため、2人を選びたくない心理が働いている」
青山氏は衆院選で自民党が過半数割れした事態を受けて、石破首相の退陣を公然と主張。11月7日の両院議員懇談会でも石破首相に向かって「しかるべき時期に、潔く辞意を表明すべき」と訴えた。
自民党中堅議員によると、石破首相はこの青山発言に大きな不快感を示し、根に持っているという。にもかかわらず、大阪府連が府内で党員を多く獲得したという理由だけで青山氏を府連会長に担ぐのは論外…というわけだ。
青山氏が府連会長になれば、これまでよりも発言に重みが増すため、石破首相との今後の攻防が問題になりそうだ。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)