東京商工リサーチが2024年12月9日に発表した「2024年1月~11月の飲食業の倒産」調査報告によれば、バーやキャバレー、ナイトクラブなど、いわゆる二次会需要を担う飲食店の倒産が急増していることが明らかになった。特に女性による接待を売りにするキャバクラが顕著で、「この業態はもう流行らないのか」という悲観的な声が聞かれる。
実はこの動き、大阪ではすでに5~6年前から始まっている。繁華街の代表格である梅田エリア(写真)を見ても、キャバクラは十数店舗にとどまり、そのうち半数近くが熟女系という状況だ。
一方で勢いを増しているのが、カウンター越しの接客が特徴のガールズバー。ガールズバーで働くのは主に20代前半の女性で、かつてキャバクラで働いていた層と同年代だ。
この変化の背景には、大阪の地形的な特性があるとされる。大阪は大学の数が東京に比べて少なく、ひとり暮らしの学生が多くない。必然的に、キャバクラでアルバイトをして生活費や家賃を稼ぐ大学生は少なくなる。
キャバクラの労働環境も、影響を与えている。遅刻への罰金制度、クリスマスやバレンタインといったイベントに課せられるノルマ、イベント時の強制出勤などは一般的だが、若い女性にとっては働きにくい職場となっている。
これに対してガールズバーは、イベントはあってもノルマが厳しくなく、出勤日が比較的自由であることが多い。この柔軟さが若い女性に支持され、ガールズバーでのアルバイトが選ばれるようになったとみられる。大阪ではこの傾向が特に強く、梅田をはじめとする繁華街ではキャバクラに代わり、ガールズバーが主流となっている。
倒産が相次ぐ飲食業界で、二次会需要を支えてきたキャバクラやナイトクラブの減少は、業界全体に大きな影響を及ぼしている。より柔軟な働き方を提供するガールズバーの台頭は、時代の流れに応じた業態の変化が求められるゆえんである。
(カワノアユミ)