12月22日にプレミアリーグ(イングランド)第17節が行われ、首位のリヴァプールは難敵のトッテナムと対戦。6-3で打ち合いを制した。
2位のチェルシーが引き分けたことで、勝ち点差を4まで広げることに成功。だが日本代表のMF遠藤航はベンチ入りしたものの、最後までピッチに立つことはなかった。
5日前、国内のカラバオカップ準々決勝のサウサンプトン戦でディフェンス陣の欠場が相次ぎ、遠藤はセンターバックで出場。急造とは思えない落ち着いたプレーで攻守に貢献し、「プレーヤー・オブ・ザ・マッチ」に選出されていた。
試合後にはアルネ・スロット監督が遠藤の名前を挙げて「異なるポジションであれほどいいプレーをしているのは、いかに質の高い選手であるかを示している」と大絶賛。それだけに、リーグ戦での起用が期待されたのだが…。結局、後半に追い上げられた場面でも、投入されることはなかった。
昨季の活躍から一転、今季のリーグ戦はこれまで、先発出場はゼロ。途中出場もたったの6試合で、合計出場時間はわずかに17分だ。もはや単なるカップ戦要員であることは明白だが、この状況に日本のサッカーファンは「いや~な記憶」が甦らせてしまうのだと、欧州に詳しいサッカーライターは言うのだ。
「リヴァプールの『先輩』たる日本代表のMF南野拓実も、当時はユルゲン・クロップ監督の下で、カップ戦要員から抜け出せなかった。特に2021-2022シーズンのカラバオカップは、獅子奮迅の活躍で優勝に貢献。『カラバ王』と呼ばれました。FAカップでもチームを優勝に導き、クロップ監督は南野をベタ褒めするのですが、リーグ戦になるとベンチが定位置となり、その起用法は最後まで変わりませんでした」
さすがに「辛抱たまらん」とばかりに、南野は翌シーズンにASモナコ(フランス)に移籍したが、冬の移籍マーケットが近づき、遠藤の周辺も騒がしくなっている。しかし…。
「遠藤の実力は最高峰のプレミアリーグで認められているので、31歳の年齢がネックになることはありません。すでに3クラブ以上が動いており、遠藤は移籍に前向きだと思われていました。これまでクラブ側も1月の移籍を容認する構えだったのですが、リーグ戦とカップ戦でタイトルを狙うスロット監督は急に慰留に努め、残留路線が強くなってきたのです」(前出・サッカーライター)
練習には真面目に取り組み、センターバックで計算できるとわかれば、とりあえず監督としてはベンチに置いておきたいのが本音だろう。
このまま残留を決断すれば、年明けもリーグ戦では南野の時と同じように、飼い殺し状態が続きそうだ。
(風吹啓太)