正月の「メディア行脚」は、阪神タイガース特有の行事だ。藤川球児新監督は1月6日から粟井球団社長らとともに、在阪メディア各社を連続訪問。相次いで会社トップらと会談の場を持っている。
普段は在阪メディアに厳しい対応や注文をすることが多い球団だが、年に一度だけ頭を下げに来るのが、この正月行脚だ。
「毎年、球団社長やフロントが系列のタクシー会社からワゴンタクシーを貸し切りにして、数日に分けて全新聞社、通信社、テレビ局を回ります。名目は『新年の挨拶、1年のお礼と協力お願い』ということで、新監督就任時は必ず一緒に回ることになる。メディア側からすれば『わざわざ阪神球団が足を運んで来た』と高揚感に浸ることができる。球団側からすれば、いい商売相手に頭を下げるのは当然のこと。実になにわの商人らしい光景です。ちなみに同じ関西に本拠地を置くオリックスは、同じことはしていません」(在阪メディア関係者)
もちろんその他の球団も、そこまですることはない。
「例えば巨人の歴代監督が正月に在京テレビキー局全社を回るなんて、聞いたことがない。代わりに球団社長、放映権担当責任者が自軍のカレンダーを持って年末、もしくは新年の挨拶回りに行くのが通例ですね」(スポーツメディア関係者)
阪神だけに通用する監督正月行脚の伝統は、いつまで続くのだろうか。