猫の病気の話になると必ず話題になるのが、猫の保険だ。入った方がいいか入らなくてもいいか、入るならどこがいいか。テーマとしてはこの2つである。
個人的には、万が一に備えて入った方がいいと決めている。その場合、どこの保険会社にするか。実は今年1月に、気になる新聞記事があった。日本経済新聞が「ペット保険 急成長の死角」という見出しで上下2回、掲載したものだ。「ペット保険は参入と撤退の両方で動きがある」というタイトルの表が載っていた。それを見たら、我が家のガトー、クールボーイ、そうせきの3匹が入っているか、あるいは入っていた保険の名前が並んでいた。
2021年に死んだジュテを筆頭に、ガトーとクールボーイが最初に入ったのが、ぺッツベスト少額短期保険。この保険会社は2023年3月に倒産し、それがアフラックペット少額短期保険に引き継がれ、ガトーはアフラックに移った。ちなみにジュテがガン闘病した際には、ペッツベストからきちんと保険金が下りたが、資金的に苦しかったのか、支払いが遅れたと記憶している。
クールボーイはペッツベストがゴタゴタしているので、アフラックではなく別の会社、SBIいきいき少額短期保険に変えた。2022年に我が家にやってきたそうせきも、その流れでSBIいきいきに入っている。
ややこしいのはガトーで、2024年10月にアフラックペット少額短期保険がT&Dホールディングスという会社に売却され、また保険会社が変わった。それなのにアフラックから、今年1月1日を契約日とする保険契約更新証が送られてきた。どうなっているのか、という感じだ。T&Dホールディングスへの移行期間でアフラックペットの契約になっていたようだが、こちらとしてはよくわからない。
さらに、4月1日付けでAll Right少額短期保険という会社に変更になる、という案内がきた。ますますよくわからない。そしてこんな文言があった。保険会社はペット&ファミリー損害保険だという。どういうことなんだろう。仕方なく電話で問い合わせることにした。
すると保険会社はAll Rightと同じT&Dホールディングスグループに属するペット&ファミリー損保になるという。さらにAll Rightがペット&ファミリーの募集代理店ではないというから、ますますどういうことかわからない。
要するに、アフラックペットがペット&ファミリーになったということだけなのだろうが、契約者を蚊帳の外に置き、経営母体がどうなるこうするを送ってこられても、こちらはチンプンカンプンだ。
それでも仕方なく契約に同意することにしたが、まだ保険証券は送られてきていない。届いたらチェックしよう。
一連の動きを見て思ったのは、保険会社は猫を単なる商売にしているだけか、ということだった。猫を飼ったこともないような人が、そろばん勘定だけで保険を売っているのではないか。だからアッという間に倒産したり、売却したりする気がして仕方がない。
電話に出た相手にはカスハラにならない程度に、こう話をした。
「猫を飼っている人にとって、猫は家族と同じようなもの。人が保険に入るのと同じことです。これが人の保険なら、やっているのがあっちだこっちだなんてならないだろうし、そんな保険には誰も入らないと思う。猫だからこの程度でいいや、と思っていませんか」
人と違って言葉を話せない猫のことを人間の頭だけで簡単に、軽く考えているとしたら大間違いだ。そもそも猫を飼ったことがあるなら、予測不能な猫で儲けようと思わないはずだ。
先の記事によると、この4年ほどの間にあいおいニッセイ、チューリッヒ、第一生命の子会社のアイペットHD、オリックス生命、アマゾンジャパン、東京海上日動(アニコム損保と共同)がペット保険の販売を始めたという。
業界なりにいろいろな問題があることはわかった。しかし、契約者にはそんな業界事情は関係がない。ブームに便乗すれば儲かるほど、甘くもないと思う。
(峯田淳/コラムニスト)