ヤクルトスワローズの新人合同自主トレで、思わぬハプニングが発生した。ドラフト1位の中村優斗投手が「上半身の違和感」を訴えて、別メニュー調整となったのだ。球団は「大事を取って」と軽症であることを強調するが、用心したほうがよさそうである。さる球団スカウトの言葉を借りると、
「今年の大卒ルーキーは『爆弾』を抱えているから」
だというのだ。
「新型コロナウイルスの流行で、甲子園大会が中止になった世代です。大会だけではなく、練習もできなかった時期がありました。基礎体力面が心配です」
中村は4年生秋の最終戦で球速160キロをマークするなど、即戦力の呼び声が高い。ところが、だ。昨年4月の愛知県大学連盟リーグ第2週1日目の試合でのこと。12三振を奪う好投を見せていたが、5回途中に足をつって降板したのである。
「ドラフトで4球団競合の末に中日入りした金丸夢斗も、4年生最後のシーズンはケガで苦しみました。周囲の期待が大きいのでキャンプでは飛ばしすぎないよう、首脳陣がセーブしてやらなればなりません」(スポーツ紙記者)
大きなケガを負う可能性が高いというわけだ。複数の大学指導者が明かしていたが、金丸たちの世代には「甲子園大会がなかったから、大学で野球を続けようと思った」と話す者が多いそうだ。
大学でその才能が覚醒したことは紛れもない事実だが、体力不足についてはこんな声が聞かれた。
「スタミナ(持久力)がないんです。長い距離を走らせると他の学年よりもバテるのが早いし、試合中に突然、痛みを訴えたりも」(首都リーグ指導者)
今回、上半身の違和感を訴えた中村にしても、合同自主トレの初日、2日目にそんな様子は微塵もなかったという。
「高津臣吾監督は中村の先発ローテーション入りを視野に入れているはずです。開幕投手は『ビジターの巨人戦でも勝てる投手を』と言っており、昨シーズン巨人戦3試合で負けナシの吉村貢司郎の抜擢が予想されていました。その流れで、先発陣が大きく入れ替わる、とも」(前出・スポーツ紙記者)
1軍でのキャンプスタートとなった新人は「飛ばしすぎる」傾向も強い。今季の大学卒新人は例年以上にレベルが高いとされるが、基礎体力が養われるまでの間、一人前扱いするのは危険だ。
(飯山満/スポーツライター)