数時間後、球団の広報関係者が近寄ってきて、
「失礼ですが、どちらの記者ですか?」
と、険しい表情で尋ねてきた。記者が名乗ると、
「ちょっとこちらへ来てください」
と、取材活動を遮られ、球場内の通路に連れていかれてしまった。
「勝手に取材されては困りますね」
と切り出す担当者に、受付を済ませて取材が認められている旨を説明したのだが、
「NPBの取材証明を持たない媒体は、取材希望日の前日までにあらかじめ申請していただかなければ困ります」
とのこと。
結局、「本日は特例」ということで、取材の続行が認められたが、こんなお達しまでいただいた。
「スポーツ取材の現場にふさわしくない行動は取らないでください」
いやはや、特段の落ち度があるとは思えないのだが‥‥。しかし、球団をこれだけナーバスにさせるのも、大物ルーキーの出現ゆえなのだろう。
球団が周到に気を配るのも無理はない。清宮も参加したNPBによる新人研修会でも、不祥事対策に力点が置かれた。巨人選手による野球賭博はいまだ記憶に新しいが、球界以外でもカヌー選手による薬物混入、ドーピング騒動など、近年、スポーツ界の暗部が浮き彫りになる事件が続いている。
新人研修会の翌日には、報道陣との間でこんなやり取りもあった。
記者 練習中、常にドリンクのボトルを持ち歩いているけど、それは高校時代からの習慣なの?
清宮 あっ、ドーピング対策という意味ですか(笑)。違いますよ。水飲み場が近くにないと困るので、持ち歩いているだけです(笑)。
清宮が気をつけなければいけないことは他にもある。
「すでにデート現場が報じられ、カノジョの存在も発覚している清宮ですが、今後、外出時には先輩のエンゼルス・大谷翔平(23)同様に球団への報告が必要です。大谷ほどガチガチのものではないようですが、一応の指導を行っていくのは、ルーキーイヤーに喫煙騒動を起こしたダルビッシュ有の一件がトラウマになっているからでしょう」(スポーツ紙デスク)
ところで、鎌ケ谷にあるグラウンドでは、その大谷も自主トレを行っているが、報道陣が一斉にカメラを向けるのはやっぱり清宮ばかり。大スターがそばにいれば、緊張したり集中が削がれたりしそうなものだが、清宮は「不思議な感じです」としながら、「大谷さんに限らず、みんながどういうことをしているのかを見ています」と、気にするそぶりを見せない。このあたりはさすがに大物感が漂う。
「寮では、大谷と清宮の部屋は隣同士です。同部屋というプランもあったのですが、お互いが“ポスト大谷”という言葉に縛られることを危惧して別の部屋になりました」(球団関係者)